『富江VS富江』55点(100点満点中)
2007年11月17日、渋谷シネ・ラ・セットにてロードショー 2007年/日本/86分/配給:アートポート

日本版『エイリアンズvs.プレデター』誕生か

絶世の美貌と不死身の肉体で、男たちを悩ませる美少女富江。美人も不老不死となれば迷惑この上ないという事がよくわかる、人気ホラーシリーズの7作目にして完結編。

恋人が目の前で殺された一樹(八戸亮)は、ようやくそのトラウマから立ち直りつつあった。ところが就職したマネキン工場の秘密部屋には、その恋人そっくりの富江(あびる優)なる女がおり、工場長ら大の男たちをあごで使っていた。一方そこの従業員の同居人にも同じ名の美少女(松岡恵望子)がおり、なぜか工場の富江の血液を狙っていた。

今年(2007年)の年末には、人気ホラー映画のキャラクター同士が戦う第二弾『エイリアンズvs.プレデター』が公開されるが、本作はその日本版ということらしい。もっともこちらはどちらも富江だが。

さて、一人でも迷惑なこのわがまま美人。しかも細胞単位で分裂するのだからたちが悪い。本作ではまず二人でてくるが、なぜか二人とも妙にあせっている様子。よく見るとそのきれいなお肌は崩壊寸前で、どうやら別の富江の血でないと治療できないらしい。はたしてどちらの富江が勝つのか。そしてその後に待っている驚愕の真相とは? というお話。

あびる優も松岡恵望子もどちらも可愛いので、そのお顔が崩壊していく様子は見るに耐えないが、それも含めていくつかのキモチワルイ場面と、富江同士の戦いが見所になる。……といっても、エイリアンとプレデターのヘビー級のアクションとは正反対で、お嬢様同士の追っかけっこといった趣。とくにモデル出身の松岡恵望子が駆けていく後姿は、その細いウェストにびっくり、なめらかな腰の動きはたいへんほほえましい。

レイトショー公開作品らしく、血まみれ残虐シーンのじつにグロテスクなこと。演じる役者もなかなかの熱演で、よけいに不気味だ。あびる優は意外と演技が上手いので、チープな低予算作品ながら普通に見られる。本人かどうかはともかく裸の後姿を見せてくれているが、できればもうちょい露出が多ければもっと話題になっただろうに、残念だ。



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