『バイオハザード III』50点(100点満点中)
Resident Evil: Extinction 2007年11月3日(祝)よりスカラ座ほか全国ロードショー 2007年/アメリカ/94分/配給:ソニー・ピクチャーズエンタテイメント
人気シリーズもそろそろマンネリ
この映画の配給会社であるソニーピクチャーズの試写室は最近新しくなったが、昼白色の蛍光灯で真っ白に照らされたそこのトイレの内装を見ると、私はポール・W・S・アンダーソン監督が『バイオハザード』で作り上げたあの独特の研究所のそれを思い出してしまう。いつ壁からレーザーがでてくるかと冷や冷やしてから席に戻ると、気分も同時に盛り上がる。
ところがこのパート3ではそんなこれまでの雰囲気がガラリと変わり、見ているだけで口の中が砂っぽくなるような、荒野・砂漠化したアメリカが舞台に。前作からは8年が経過、人々をゾンビに変えるT-ウィルスは世界中に広がり、人類と文明社会はいよいよ滅亡の危機に瀕している。
残りわずかな食料と弾薬、ガソリンを求める生存者たちは、あるものは略奪者となり、別の人々は集団で移動生活を余儀なくされている。まるで『マッドマックス』や『北斗の拳』のごとき世界だ。シリーズの主人公アリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、T-ウィルス対策を研究するアンブレラ社から遺伝子情報を狙われ、偵察衛星等で24時間捜索されている。その目をかいくぐりながら、オートバイで各地の生存者を探して回っている。
アクション満載のゾンビものという基本コンセプトは踏襲しており、ミラ・ジョヴォヴィッチのスタイリッシュな動きを楽しめるという点も同じ。今回の彼女ときたら、どうやらATフィールド展開能力を習得しており、ジャンルに超能力ものも一丁追加。ハリウッド有数の脱ぎたがり女優のわりに露出は控えめだが、ちゃんと全裸シーンのサービスもアリ。
ただ、そろそろこのシリーズもマンネリ。ゾンビ映画自体がとっくにやりつくされている中、噛まれた傷を隠して仲間と行動を共にする人間など、いいかげんやめてくれといいたくなるネタばかり。
毎回ゲスト扱い程度に登場する、原作ゲームファン向けのサービスキャラとしては、クレア・レッドフィールドとタイラントがいる。……が、クレアの役柄変更はともかく、最強のボスキャラだったタイラントの情けない最期には唖然とする。
朽ち果てたラスベガスが登場し、ゾンビが地球全体に繁殖しているなど、話の規模は際限なく広がっているが、映画としては反対にちんまりした印象。予算以上にスケール感を出す手腕が評価されるポール・W・S・アンダーソンが監督した1と比べるのは気の毒かもしれないが、どうも安っぽくて仕方がない。
また、悲劇的完結を予想させる日本公開用の宣伝コピーにも疑問が残る。こういうやり方は、興味を持った人を騙すだけの効果しかなく、安直極まりない。
それにしてもこのままいくと、パート4で予想される展開はもうギャグにしかなるまい。CGをさぞたくさん使うことになるだろうが、作品としての面白さは暴落傾向をたどるような気がしてならない。