『スターダスト』70点(100点満点中)
Stardust 2007年10月27日(土)より日劇3ほか全国ロードショー 2007/イギリス・アメリカ/カラー/128分/配給:UIP映画

現実の女の子もこうなら楽なのに

ある日、流れ星が地上に落ちた。片思いの女の子にプレゼントすべく、流れ星のかけらを狙う主人公青年がそこにいくと、星は麗しきお姫様の姿に変わっていた。一方、悪の老魔女も、不老不死の効力をもつ彼女の心臓を虎視眈々と狙っていた。

壁に囲まれた村にすむ青年、その裂け目を守る番人、願った場所にテレポートできる蝋燭など、各種設定や細かいアイテムに魅力があり、かつストーリーに生かされているので世界観がしっかりと感じられる。空を飛ぶ海賊船が着水する場面の異様な力の入れ方など、どこを重視すれば舞台が生き生きとするか、この作り手はよくわかっているようだ。

また、映画ファンにとってはベテランスターのいじり度合いが笑えるだろう。たとえば海賊船長のロバート・デ・ニーロは、本当はやさしいくせに部下の前では恐怖の船長を演じているという設定。自室に一人でいるときの本音バージョンとのあまりの落差は、このハリウッド随一の演技派がやるとじつにキョーレツ。デニーロアプローチの新たなる伝説として、映画史に記録されることになるだろう。

公開中の『ヘアスプレー』に続く悪役としてミシェル・ファイファーが魔女を演じているがこちらの扱いもひどい。主人公らを追跡するため、大昔に保存しておいた星のお姫様の心臓を食べて一気に若返ったはいいものの、赤福なみの賞味期限切れ品だったようでその効果は時間とともにぼろぼろと落ちていく。

魔法を使うたびにしわがふえ、肌がくすんでいくのを見て、クレア・デインズ演じるお姫様に「ミシェルさんがかわいそうだから、キミが犠牲になって心臓あげたまえ」と心でつぶやいたのは私だけではあるまい。ミシェル・ファイファー自体、美貌を維持する限界に近づいているだけに、あまりに申し訳なくてこの一連のシーンは笑えない。

クレア・デインズお姫様は、恋をすると(正体が星だけに)体全体が白く輝いていくという設定。たとえば主人公のイケメン君が彼女の喜ぶことを言ったりすると、キラリーンと光る。たとえ表情はツンツンしていてもその内面は隠せない。いやいや言っていてもカラダは正直だな、へっへっへ、というわけで妙に可愛いのだ。これは、画期的な萌えの新機軸というべきであろう。

最後の戦いもユーモアと遊び心にあふれていて、肩の力が抜けている。マニア度の低い、万人が楽しめるファンタジー映画としてオススメしたい。

恋のゆくえ ファビュラス・ベイカーボーイズ
ミシェルファイファーの代表作で、もっとも輝いていた作品といえばこれですが、個人的には49歳の今の方が綺麗というか、可愛いと思うんですよねぇ。同意者求む。
スターダスト (角川文庫 (ケ7-1))
原作本。ファンタジー小説好きな人に。


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