『ブレイブ ワン』70点(100点満点中)
The Brave One 2007年10月27日(土)サロンパスルーブル丸の内ほか全国ロードショー 2007年/アメリカ映画/122分/配給: ワーナー・ブラザース映画
賛否両論の結末とはいうが……。
婚約者と公園を散歩中、理不尽な暴力ですべてを失ったラジオパーソナリティーのヒロイン。後日、護身用に拳銃を入手したもの の、それで実際に悪党を殺めた瞬間、彼女は人として超えてはならない一線を踏み越えた事に気づく。
犯罪者とその暴力によりひどい目にあった女が、犯罪者から銃を得て、その圧倒的 暴力で別の犯罪者たちを殺していく話。法の力が届かぬ輩には、連中と同じ暴力と いう武器で制裁するしかない。それ以外に解決の方法はないというわけだ。だがしかし、実際は何も解決などしていない。
この映画では、"復讐の連鎖はどこかで誰かが我慢して見切りをつけないと終わりがない"という正論が、あまり にもないがしろにされている。ヒロインが銃を得た後に取る行動は、前述した法治国家の精神を真っ向から否定するもの。こんな 話をニューヨークを舞台にやるなんて、あからさまなプロパガンダではないか。いいのかこれで?
被害者の痛みを上手に描写しているので、そうした疑問は持ちにくくなるよう作られている。が、セガールのノーテンキ復讐アク ションならともかく、一見マジメなこの手の映画でやられると嫌な感じがする。9.11を対岸から距離を置いて眺めていた身として は、なおさら感情移入しにくい。
ヒロインを演じるジョディ・フォスターは小柄なだけに、冒頭の暴力場面の凄惨さが際立つ。彼女はアラブ人をテロリスト扱いし た失礼千万な映画『フライトプラン』なんぞにも出ていたが、過激な民族派なのかね。
相変わらずかわいい顔をしているとは思うが、それにしてもカレシと婚約ラブラブ〜なんてやってる歳じゃないだろう。ボディダ ブルモロバレの濡れ場といい、いくらなんでもこいつは無理のある役回りだ。普段は非整形ナチュラル志向とか言ってるくせに、 選ぶ役柄はぜんぜん自然じゃないんだなこれが。終わったあと色々語れるという点で、見ごたえはあるが。ちなみに、マジメに語 り合える大人のカップルにも向いている。