『呪怨 パンデミック』60点(100点満点中)
The Grudge 2 2007年8月11日全国ロードショー 2006年/アメリカ/92分/配給:ザナドゥー×エイベックス・エンタテインメント
火災を経て不気味さを増した伽椰子屋敷が必見
『呪怨 パンデミック』は、清水崇監督が日本人監督として史上初の全米興行成績一位を取った『THE JUON/呪怨』の続編だが、その副題の意味するところも含め、終わってみれば現在製作中のパート3へのつなぎ的位置づけの作品ということがよくわかる。しかし、だからといって退屈ということはまったく無く、見ている間大いに楽しめる(怖がれる?)優れたホラー作品である。
インターナショナル・スクールに通うちょっとイケてない少女アリソン(アリエル・ケベル)は、正反対のタイプの同級生ヴァネッサとミユキ(宇野実彩子)に連れられ、幽霊屋敷と評判の一軒屋にやってくる。火災の跡も痛々しいその家の押入れにふざけて閉じ込められたアリソンは、そこで恐ろしいものを見る。じつはその家こそ、かつて佐伯伽椰子(藤貴子)とその息子の俊雄が虐殺された、怨念に満ちた家であった。
呪怨シリーズではおなじみ、いくつかのエピソードを平行して描き、マシンガンのようにテンポよくつないでいくパターンだが、今回はそれぞれの話が有機的なつながりを持ち、ちょっとした仕掛けもあって楽しませてくれる。
清水崇監督の恐怖演出には特段目を見張るようなものは無いが、同じシリーズをこれだけあれこれと弄繰り回していると、さすがに手練れた印象になってくる。伽椰子が出てくる場面などは、もはやほとんど歌舞伎役者の登場シーンのようなもので、何か掛け声のひとつもかけてやりたくなるほどだ。
アメリカ相手の商売ということで登場人物のひとり、かわいい金髪女子高生によるシャワールームでのサービスシーンなどもあったりする。前作のサラ・ミシェル・ゲラーのような集客力のあるスターはいないものの、そんなマイナー感、B級ぽさも悪いものではない。
長編ながら、"ため"がないショックの連続なので、大きな怖さは期待できない。しかし、百物語的な、小さな怖さをたくさん味わえるシリーズの持ち味は健在。興味のある方は、そのあたりに期待してお出かけのほどを。