『ストレンジャー・コール』75点(100点満点中)
When a Stranger Calls
2007年6月16日、渋谷Q-AX、新宿K's cinemaほかにてロードショー 2006/アメリカ/87分/配給:SPE
深夜の大邸宅にひとり、執拗にかかってくる無言電話の怖さ
暇つぶしにネットサーフィンしているとき、掲示板などで「今、きみの後ろにいるよ。振り返ってみてごらん」なんて書き込みを見つけると、状況によってはものすごく怖かったりする。ハイテクに囲まれている現代においても、人々が感じる根源的な恐怖というものはあちこちに存在する。
丘の上に建つ一軒の豪邸。そこに女子高生ジル(カミーラ・ベル)が、ある晩ベビーシッターのバイトでやってきた。子供たちはすでに二階で就寝しており、彼女は気軽な留守番ができると思っていた。ところが気味の悪いイタズラ電話が連続。ジルは間取りが想像できぬほど広い、死角だらけのこの邸宅が恐ろしくなってきた。しかも電話の相手は、彼女の姿を見ていなければわからぬ事をやがて話し始める……。
だだっ広い屋敷で留守番をすることになった女子高生が、段々エスカレートするイタズラ電話に恐怖する、というワンシチュエーションスリラーだ。
「ホラー映画にありがちなゴシック建築の屋敷を舞台にしたくなかった」ということで、本作に出てくるのは、自動点灯ライトや内庭庭園を擁した、現代的なデザイナーズハウス。警備会社のオンラインセキュリティシステムも完備したこのハイテク屋敷が、しかし昔ながらの都市伝説(あなたの背後にイタズラ電話の主が?!)の格好の舞台となる。
侵入者から住人を守るための数々のシステム、防犯グッズを見事に恐怖の小道具として利用する。そのアイデアがいい。しかも同時に終盤への伏線となっていたりして、なかなかあなどれない。丁寧に構成されたストーリーなので、鑑賞後の満足度が高い。
この映画の元ネタは1979年の『夕暮れにベルが鳴る』。ただし、前半のお屋敷内でのサバイバルホラーの部分のみを拝借しているので、このリメイクは最後まで家の中のみが舞台となる。このシンプルさ、潔さが良い方向に出た。
ほとんど唯一画面に映る人間=ヒロインのカミーラ・ベルがまたいい。87分間見続けていても見たりないくらいルックスが良いし、何より表情がいい。あの怖がり顔は、観客のS心を大いに刺激する。ほっそりしたウェストのくびれもまた、なんだかいじめたくなる要素のひとつといえよう。本年度のホラークィーンは彼女で決まりだ。
映画のほうの対象年齢層もこの彼女同様、ティーンエージャーが中心となる。やはりオリジナルにあまり思い入れのない世代の方が、新鮮に楽しめるはずだ。
イタズラ電話がドリフのコント並みのグッドタイミングでかかってきたりと、意外に笑える場面があるが、犯人が出てくるときのショックシーンだけはあまりに凶悪。ソニーピクチャーズの試写室(この日は一般の人も多数)が揺るぎ、みんな飛び上がって驚いていた。なかなか楽しい体験であった。