『ゲゲゲの鬼太郎』75点(100点満点中)
2007年4月28日、全国ロードショー 2007年/日本/配給:松竹

個性出まくりのオールスターキャストの中でもイチオシは田中麗奈

ゴールデンウィークとはもともと映画業界用語で、この時期は家族みんなで楽しめる話題作が集まるものだが、その中でも異彩を放つのがコレ。おなじみ水木しげるの妖怪漫画を、CG満載で実写化したアクションムービーだ。同じ漫画の実写化として『デビルマン』『キャシャーン』のようなドン引き駄目映画になるもよし、『忍者ハットリくん』のようにバカ映画として後世に名を残すもよし、どっちに転んでも見所にはことかかない、魅力的な一本である。

年中金欠のダメ妖怪ネズミ男(大泉洋)は、ひょんなことから手に入れた妖怪界の至宝"妖怪石"を、よりにもよって質入れしてしまう。織田信長や天草四郎ら歴史上の人物の怨念を封じ込めたこの石は、心の弱い人間などが手にすれば、瞬く間に邪悪な心に取り付かれてしまう。案の定、石は小学生の健太(内田流果)の父(利重剛)の手に渡り、やがて人間&妖怪界を巻き込んだ争奪戦が始まってしまう。

妖怪ものは意外にも現代っ子にウケるらしい。しかも今回は超有名タイトルなので、結構な話題を呼ぶはずだ。鬼太郎役はティーンからオバサマまで大人気のウエンツ瑛士。映画オリジナルのヒロインには、あの沢尻エリカに「最近出すぎで気に入らない」とまで言わせた人気急上昇中の井上真央。そして目玉おやじの声はおなじみ田の中 "オイ、鬼太郎" 勇である。これは年齢性別問わず、あらゆる日本人を守備範囲に収めた強力な布陣といえる。

こうしたメインキャストのみならず、妖怪役には子泣き爺の間寛平を筆頭に、ろくろ首のYOU、小雪、中村獅童、西田敏行といったアクの強い面々が、それぞれの持つ役者としての個性を役柄にそのまま生かして出演。大人の観客にとってはそのなりきりっぷりを見ているだけでも笑える。中でもねずみ男=大泉洋は、前半のお笑い部分をほぼ一人で担当し、見事な芸達者ぶりをみせつける。彼のおかげでこの映画、面白さが2割は増した。

ウエンツ瑛士の下手っぷりはここでのコメントに値するが、それすらも味として楽しめてしまう、それくらいまわりの役者陣が魅力を持ち寄っている。ちなみに彼の相方(小池徹平)も、のっけからある形で参加する。なお、最大の注目株田中麗奈については最後に述べる。

全体的に大人向けの、たわいもない内輪ウケ型ギャグが多く、子供よりむしろお父さんお母さん方が楽しめる。よくもまあ、あんなにバカバカしい演技を皆まじめにできるものだと、本当に感心する。まさにプロの技だ。

ただ、ここまで肩の力を抜いた楽しいコメディを作れたのだから、ストーリーにも手を抜かず、極力ご都合臭を取り除いてほしかった。この点で結局本作も使い捨て子ども映画の枠を出ることができず、損をしている。

さて、最後に田中麗奈の話。猫娘を27歳で演じる彼女は、これまで着々と積み重ねてきた「演技派若手女優」の看板をかなぐり捨てるかのような恥ずかしいコスチュームプレイ(演劇用語にあらず)を見せてくれる。アニメや漫画と同じ超ミニの赤い衣装からのぞく細い脚線美は、お父さんたちの心のオアシスと評価するにふさわしい。

どの場面でも彼女のかわいらしさは頭ひとつ抜けているが、最大の見せ場は二度ほど見せてくれる猫ダンス。どちらかというとマジメな印象があるあの田中麗奈が、ものすごくかっこ悪い動きをやっぱり大真面目に繰り返し続ける姿をみて唖然呆然。あいた口がふさがらない。お願いだからやめてくれ、というファンの断末魔が聞こえるようだ。

個人的には、この妙なダンスを見られただけで十分満足。あとは全部許せるというくらいインパクトの強いものであった。ほかの部分は二度見たいとは思わないが、ここだけはもう一度みたい。

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ゲゲゲの鬼太郎 1 少年マガジン/オリジナル版 (1)
オリジナルの原作コミック。絵柄が全然いまと違う!


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