『ママの遺したラヴソング』40点(100点満点中)
A Love Song for Bobby Long 2007年4月7日、シネスイッチ銀座ほかにて全国ロードショー 2004年/アメリカ/119分/配給:アスミック・エース
字幕が舌っ足らず
「ロスト・イン・トランスレーション」「アイランド」「マッチポイント」と主演作が相次ぐスカーレット・ヨハンソン。ぼちぼち知名度が上がってきたところで、2004年製作の本作も日本公開となった。
フロリダでダメ男と同棲し、自身も怠惰な暮らしを送っていた少女パーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、母の訃報を受け故郷のニューオーリンズに戻る。すると実家には、母から居住権を譲られたと称する二人の男がいた。一人は大学文学部の元教授(ジョン・トラヴォルタ)、もう一人はその助手で作家志望の青年(ガブリエル・マクト)。最初はいがみあっていたが、まったく価値観の違う二人と同居を始め、パーシーの荒んだ生活は徐々に癒されていく。
一度は失われた家族愛を、母の遺したあるものによって取り戻すという癒しの物語だ。母が残したものの中には、先ほど説明したわけのわからぬ中年男二人というのもあるわけだが、堂々と実家に居座り、のんきに暮らす彼らからパーシーが学ぶものは少なくない。フロリダとはまったく違うのどかな田舎で、やがて彼女は学校に通い文学に目覚める。
スカーレット・ヨハンソンはこのころ20歳かそこらだと思うが、肌はきれいでスタイル抜群、絵に描いたような美少女だ。やたらと大きな胸にばかり目がいってしまうが、もちろんそんなところを見るべき映画ではない。
相手役のジョン・トラボルタは初老の男という設定だが、どうにもしっくりこない。物語上の設定では一応18歳と48歳となっているが、こいつはいかにも若すぎる。トラボルタの役は、少なくとも65歳くらいに思えてしまう。劇中で自身を自虐的に「老いぼれ」と呼んでいたから、私はてっきりそのくらいの年齢だと思っていた。しかしそのわりにはトラボルタ自身の見た目は若く見えるしで、一種の混乱状態に陥っていた。
また、大学教授というのも少々無理がある気がする。やたらと引用を会話に織り交ぜるインテリの役は、彼には似合っていない。
こうしたミスキャストに加え、字幕が舌っ足らずなのでこの映画、登場人物の人間関係がきわめてつかみづらい。いったいこいつらはどういう関係なんだと、思わず頭をひねってしまう。
いくつか泣ける場面はないでもないが、どうにも現実感が感じられない展開で話に没頭しにくい。もし無名の役者が主演であったら、間違いなくビデオスルーになっていただろうな、と思わせる一本であった。