『バタリアン5』55点(100点満点中)

前作とタイプは違えど、正統派のスプラッタホラー

先日、13年ぶりの復活をとげたバタリアンシリーズ。そのパート4と同時に撮影された続編がこの5だ。監督はもちろん同じで、主要なキャストも引き継がれている。これ一本で完結したホラー映画だが、そんなわけでなるべくならパート4を見た後に見ることが望ましい。

前作で、無事生還したジュリアン(ジョン・キーフ)は、亡くなった叔父の隠し部屋から「トライオキシン5」と書かれたドラム缶を発見する。異様な雰囲気を感じた彼は、ドラム缶を化学マニアのコーディー(コリー・ハードリクト)の研究室に運び込む。そこで内容物の確認を頼んだのだが、中身がドラッグだと勘違いしたコーディーらは、それを錠剤に加工、売人を通して学園中に売りさばいてしまうのだった。

さて、ご存知のとおり「トライオキシン5」を摂取した人間は、生きていようが死んでいようがゾンビになってしまう。折りしも時期はハロウィン。学園中の生徒が集まるパーティが始まる中、次々とゾンビ化する学生たちは、周りの友人らの脳みそにかぶりつく……。

悪徳企業内でのゾンビシューティング映画だった前作とは打って変わり、こちらはオッパイ満載の、セックス&ドラッグ&ゾンビ映画になっている。パーティーでラリったバカ若者たちは、みんななぜか次々とTシャツを脱いでオッパイを丸出しにするわ、しかもそれが揃って何かが入っているかのような巨乳だわと、笑い所満載。

そしてホラー映画の法則どおり、そうしたバカ若者たちはみな壮絶な死に方を遂げる。B級映画作りの名手エロリー・エルカイェム監督は、今はやりのCGなどには目もくれず、スプラッタホラーの全盛期と同じく、手作り感あふれるゾンビメイクと血のり、そして工夫を凝らしたカメラワーク&編集で、数々の殺戮シーンを描き出す。いまやそれらはホラーというよりコメディにしかならないが、もちろんそのあたりは重々承知、『バタリアン5』は、おバカ度高めのコメディホラーとして作られている。

前作同様、バタリアンが築きあげてきたシリーズ独自のルール(頭を撃っても死なない、ものすごいスピードで追いかけてくる)をサラリと無視しながら、それでもパート1の人気キャラクター(?)、タールマンを登場させるなど往年のファンの心をくすぐる演出も。しかしこのタールマンの扱いがなんとも……。これ以上は言えないので、ぜひその行く末は劇場で。

『バタリアン5』は、チェルノブイリロケなんていう無茶をした前作に比べると、少々小粒感が否めない。パーティで乱痴気騒ぎをするバカ若者と、ゾンビがほとんど見分けがつかず、実際参加者たちも気づいていないなんていう構図もありがちだし、いまさらそれで若者文化への皮肉になるというものでもあるまい。

ただそれでも全体的に見れば、こうした悪趣味な残酷スプラッタホラーを楽しむ層にとっては、堅実な出来栄えといえるだろう。言うまでもないが、これを楽しめる人というのは、いかにも人形じみたマネキンの首がチョンパされて血がブシューと噴出すたびに、そのチープさやマヌケな死に方に爆笑できるような、そういうタイプの人である。残酷シーンに顔をしかめて嫌悪感をあらわにするような人は、当然のことながら見ないほうがよろしい。



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