『サムサッカー』50点(100点満点中)

多くの日本人には響きにくいのではないか

タイトルのサムサッカーとは、親指しゃぶりの癖(thumb sucking)からきている。この映画の主人公は、まさにその癖をやめられない17歳。本作は、彼の成長と苦悩を、等身大のエピソード満載で描く青春映画だ。

17歳になってもサムサッキングの癖がやめられない主人公(ルー・プッチ)。唯一話がわかる歯医者(キアヌ・リーヴス)は、癖の原因を不安だと見抜き、催眠術療法をかけてくれたが、不安解消のはけ口だった癖を失った彼は、よけいにひどい症状に。ところがそのせいで精神科医から処方された抗鬱薬が効果てきめん。別人のようにポジティブになった彼は、好きな女の子(ケリ・ガーナー)とも上手くいき始めるが、それはそれでまた別の問題が巻き起こってくるのだった。

この作品は、非常に普遍的なテーマを扱っている青春映画だ。少年は、欠点を無くすのではなく克服すべき、というのがそれ。この映画の彼の場合は、自分の周りに目を向けられるよう、成長を遂げたことで、本来のコンプレックスも改善に向かっていく。ごく当たり前の事を言っているわけだが、その語り口はユニークだ。

とはいえ、この映画で語られるエピソードの数々は、私に言わせればどれも琴線に触れない。抗鬱薬でラリるとか、マリファナとか、妙に女性上位のティーンエイジャーとか、そうした要素はあちらの少年少女が見てこそ「そうそう」と共感できるものであって、極東の島国、東京に住む、ただの下町っ子である私には、何の感動ももたらしてくれない。

キアヌ演じる医者のブレ具合も楽しいし、主演の少年のダメオタ→秀才→フツー人への変貌ぶりの演技も凄い。

しかし、やはり核となる物語に没頭できぬというのは残念。逆にいえば、ここで書いたような文化、風習に違和感をもたずに感情移入できる人であれば、これはなかなかの佳作になるのではないかと思われる。

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この映画の音楽を担当したエリオット・スミスは、完成を見る前に自ら命を断ってしまいました。


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