『ファイナル・デッドコースター』60点(100点満点中)
ハダカの女子高生が丸焼けになるのを爆笑して楽しむ、とにかく悪趣味な映画
『ファイナル・デスティネーション』(2000)、『デッドコースター』(2003)に続くシリーズ第3弾。このショックホラーシリーズは、まったくもってシャレにならない危険な映画であり、心臓を患っている方や妊婦の方は、絶対に見てはいけない。特に第2弾の『デッドコースター』は最悪だ。歩いていて後ろから突然意地の悪い友人に「わっ!」と驚かせられるような、寿命の縮むショックシーンが連発。数々の事故シーンは最新鋭のCG技術を駆使した超リアル志向で、経験者はトラウマ確実だ。
シリーズの基本的展開はすべて同じで、予知夢で事故を予測した主人公が、とっさの機転でいったんは自分と友人らを救うところから始まる。しかし死の運命からは決して逃れられず、すぐに一人ずつ、順々に残酷な事故死を遂げていく。自分の順番が迫りくる中、果たして主人公は助かるのか? というもの。
このパート3もその点は同じ。主人公はウェンディという女子高生で、ジェットコースターの凄惨な脱線事故から一度は生還する。その後、忍び寄る死の運命に対峙するわけだが、前作までと違うのは、彼女はひとつ、大きな武器を得るという点。それは「被害者が写った写真には未来の事故のヒントが隠されている」という事実を知ったこと。この情報を最大限に利用し、ウェンディは運命を変えようと試みる。
予算規模も大きくなった最新作だが、残念なことに内容はパワーダウン。……というよりは、コンセプトが少々変わったというべきか。あまりに残酷で、ショック度の高かった前作を反省し、このまま過激さをエスカレートさせるには限界があると思ったのか、この3作目では唐突なショックシーンはほとんど無くなっている。被害者たちは、誰もが予測するところで、予想通りの死に方をする。このポイントを意地悪く外して、観客が安心したところでグチャっといく前作までの魅力?は影をひそめた。
悪趣味な私としては、これは非常に残念な路線変更であるが、その分死に方は、えらく懲りまくっている。ひとつビンが倒れると、それによって次の物が落ち、徐々に増幅されて最後には……といったように、あたかもNHKのピタゴラスイッチのごとき複雑な機構によって、登場人物たちが死んでいく。「ありえねー」と思いつつ、それを見てゲラゲラみんなで笑うというのが、この映画の楽しみ方。青少年の教育にたいへん悪い。
クライマックスの電車事故などは、CG技術のオンパレードで、とにかくエグくて派手な死に方をするが、正直なところ、こういうところに凝ればこるほど観客の怖さ、ショックは薄れる。むしろ、横断歩道を普通に歩いていたら、横から突然トラックがやってきてつぶされる、といったシンプルかつ現実的な死に方のほうが怖い。次回作は原点に戻り、そうした演出を追求してほしい。
このシリーズは、前作を見ていなくとも、むしろ見ていないほうが新鮮に楽しめると思われる。今回はマイルドだから、初心者でも大丈夫。気の弱い女の子には、ちょうどよいぬるま湯だ。とはいえ、万が一初デートにこんな映画を選んでしまうと、確実に変態だと思われるので、利用には注意が必要だ。