『森のリトル・ギャング』60点(100点満点中)

普通に面白い子供アニメ

最大手ディズニーのライバル、ドリームワークス製作による、アメリカ製フルCGアニメーション映画。『シュレック』シリーズで知られるドリームワークスのアニメは、『シャーク・テイル』『マダガスカル』など、動物を主人公にしたものが多いが、本作もその例に漏れず、動物を擬人化した作品だ。

登場人物?は、とある森の動物たち。彼らは家族思いのカメ、ヴァーン(声:武田鉄矢、ギャリー・シャンドリング)を中心に、昔ながらの暮らしをはぐくんでいる。ところがある年、冬眠から目覚めてみると、森の周りは新興住宅地になっていた。エサ不足に悩む彼らの前に現れた、流れ者のアライグマ(声:役所広司・ブルース・ウィリス)は、自分と一緒に、うまい食べ物があふれる人間の家に忍び込み、盗めばいいと語る。危険を直感したヴァーンは反対するが、今まで食べたこともない美味なるスナック菓子をふるまうアライグマの口車に、ヴァーン以外の素朴な森の仲間たちは乗せられてしまう。

いま、人間の生活圏に野生動物が現れる問題が各地で起こっているが、その理由はこの映画のように、人間がとめどなく彼らのテリトリーを破壊し、侵しているためとされる。『森のリトル・ギャング』は、この問題を動物側の視点で描くことで人間社会を風刺し、同時にコメディとして成立させている。

物語はやがて、人間対動物の、食べ物争奪戦争の様相を呈してくる。人間側に、ヴァーミネーターなる害獣駆除のプロ業者が現れると、その後はCGアニメならではの、動きの派手なアクションがたくさん繰り広げられる。動物たちが知恵を絞り、協力してがんばる姿はとてもかわいらしい。

ドリームワークスのアニメーションは、豪華な声の出演陣も特徴だが、今回もブルース・ウィリス、ニック・ノルティ、ギャリー・シャンドリングといった面々がアチラでは話題。とはいえ、私が観たのは日本語吹き替え版だから、オリジナルキャストの演技については何も語れない。

日本では、吹き替え版の上映がほとんどになるのではないかと思うが、演技には少々違和感が残る出来。83分と非常に短く、エピソードもシンプルなので、完全に子供向けと割り切ったほうがよい。まさかこれを、大人同士で見に行く人はいないとは思うが念のため。

ただそれにしても、『ポケットモンスター』や『NARUTO』『ボウケンジャー』あたりによって、すでに子供市場のパイは食い尽くされる勢いだ。大人も含めたアニメマーケット全体を見回しても、品質の『時をかける少女』、宣伝の『ブレイブストーリー』、ネームバリューの『ゲド戦記』があり、同じアメリカのCGアニメには屈指の傑作『カーズ』もある。どう考えても、『森のリトルギャング』には、入り込む隙間がない。

決して悪い内容ではないし、普通に面白いのだが、どうにもぱっとしない。アニメだらけの今年の夏シーズンでは、苦しい戦いを強いられることだろう。なお、エンドロールのあとに、本当のオチが残っているので、ご注意のほどを。

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