『ラブ★コン』85点(100点満点中)

世界に通用する素晴らしい出来栄えのラブコメ

映画『NANA』が見事にヒットを飛ばしたおかげで、同じく少女漫画の映画化である『ハチミツとクローバー』やこの『ラブ★コン』も大いに期待されている。各原作の愛読者でもある私が、この3作品を見て共通すると感じるのは、どれも非常にうまく映画化できているということだ。

『ラブ★コン』は、背の高い女子と背の低い男子が主人公の、学園ラブコメドラマ。ヒロインのリサ(藤澤恵麻)も、その相方の敦士(小池徹平)も、それぞれ身長を理由にフラれた経験者で、ヒジョーにコンプレックスに思っている。そんな、妙に似たもの同士の二人は、クラス内で毎日絶妙なノリツッコミを見せ、"オール阪神・巨人"などとあだ名されている。いつも「デカ女!」などと、自分が気にしている高身長をバカにする敦士に対し「絶対アイツだけはヤダ」と思っていたリサだったが、やがて、自分を一番理解しているのは彼だと気づく。

映画『ラブ★コン』は、下手をすると原作漫画よりも面白い。マンガの映画化としては最高クラスの出来栄えといってよい。ヒロインを演じる藤澤恵麻のかわいらしさ、小池徹平の憎めない優しさ、その二人による完璧に息の合った漫才?シーン。どれも映像作品ならではの魅力にあふれており、ほとんど文句の付け所がない。

唯一、二人の実際の身長差があまりなく、「デカ女とチビ男」という、肝心の設定のインパクトが薄れてしまったのは残念。完璧なこのキャスティングを生かすべく、台を使うなり構図を変えるなり、撮影側がもう少し工夫してあげたらよかった。

ちなみに映画版の二人の身長差の設定は、原作より少ない170cmと159cmという事になっている。自分より背の高い女性とほとんど出会うことのない(高身長好きの)私などは、190cmの女性だって大歓迎であるが、この年頃の男女にとって、この身長差は大きな悩みになるだろう。たとえ170cmの身長が、現代では女性にとってむしろモテる要素であったとしても、だ。このあたりの若者心理の描き方がこの映画、とてもリアルだ。

主演の二人は、おそらく絶対的な自信を持って、このキャラクターを演じている。そして、スタッフもすばらしい演出でそれに応える。たとえば『ラブ★コン』はギャグ満載のラブコメであるが、こういう作品の映像化は案外難しく、一歩間違えるとスベりまくりになる。ところがこの映画のスタッフは、ポップなCGや原色を多々使った、あえて非現実的な画面作りにすることにより、その危険を絶妙に回避した。

これにより、二人の相当なオーバーアクトもすんなりと画面になじみ、まったく違和感なく見ることができる。本当に楽しくて、面白くて、そして感動的な恋愛映画になっている。石川北二監督は、漫画の映画化において、抜群のセンスの良さを見せつけたといえるだろう。

この映画に使われる音楽は、90年代のガールポップを中心にしたもの。プリンセスプリンセスやパフィー、リンドバーグ等々、これは25歳〜35歳くらいの男女にとって、ノスタルジィを感じさせるものだ。そして、作品の雰囲気にもピッタリと合っている。

『ラブ★コン』は、素晴らしいセンスをもった製作陣と、パーフェクトなキャストによって、まれにみる傑作ラブコメに仕上がった。身長をテーマにした内容は、日本のみならず、世界中に輸出しても必ず支持されると私は確信する。この映画は、世界に通用する邦画の一本である。皆さんもぜひ、お試しになってほしい。

ラブ★コン (1)
原作漫画です。この映画が映画化の成功例であることが、読めばわかると思います。この1巻から先、数冊分の物語をうまく抽出して脚本化しています。
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