『ディセント』65点(100点満点中)

閉所恐怖症の方は見られない

『ディセント』は、ヨーロッパでたいへんな評判を呼んだイギリスのホラー映画だ。洞窟という、予算不足を補いつつも、観客の興味を引くに十分な舞台設定、女ばかり6人が出演という華やかさもホラーらしくて大変よろしい、身が凍る思いを存分に味わえる娯楽映画である。

主人公ら女6人は友達同士。一年に一回、秘境を探検する小旅行を企画して、友情を確かめあっている。今年は、彼女らのうち、一人の家族が不幸に逢ってから1年近くがたち、その気晴らしも兼ねていた。6人はアパラチア山脈奥地の地下にある、難易度が低めの洞窟探検を企画し、ロープで降下していくが、やがてなにかが違うような、不気味な違和感を感じ始めるのだった。

さて前半は、この洞窟探検が恐ろしい。人間一人がはって歩くのがやっと(身動きすらできないほどキツキツの狭さ!)の細い隙間を何メートルも進む場面などは、閉所恐怖症の方は絶対に見られまい。先がどうなっているかわからないのに、よく進めると思う。だって後退不可能なくらい狭いんだから。途中で一人が挟まり、あまりの恐怖に呼吸困難に陥るところでは、見ているこちらまで息苦しくなった。勘弁してくれと思う。

ショックシーンも満載で、突然の大音響に心臓が縮み上がる。予断だがこの映画、予告編の冒頭も、心臓麻痺の恐れがあるとんでもない始まり方なので、お気をつけを。

後半は、観客の度肝を抜くトンデモな話になる。ジャンルの壁をぶち抜くダイナミックな展開に、B級映画ファンは大喜び、前半の雰囲気を見たかった方はちょっと戸惑うに違いない。この先は、チープだけど面白い、アクションホラーっぽいお楽しみが待っている。スプラッターシーンが連続し、まさに、女だらけの○○大会だ。

『ディセント』を見る際、狭い映画館、音の良い映画館は非常に危険である。トラウマにならぬよう、十分に注意してお出かけのほどを。

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宣伝資料によると、この映画と同系列の恐怖だそうです。CUBEはとてつもなく怖く、面白い映画ですが、1部屋半のセットだけで撮影した低予算映画でもあります。まさにアイデアの勝利。すばらしいことです。


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