『着信アリ Final』30点(100点満点中)

安直な出がらし続編

三池崇史監督のPART1の出来がよく、アジア全域で大ヒットしたために、ついに3作目まで作られてしまったこのシリーズ。今回は国内で人気急上昇中の堀北真希(TV『野ブタ。をプロデュース』の小谷信子役など)と、アジア市場向けに韓国のアイドル、ジャン・グンソクを主演に据え、手堅く中ヒット狙いの路線で挑む。

修学旅行で韓国に行くことになった2年C組。ネット友達のアンジヌ(ジャン・グンソク)と会うのを楽しみにしていたえみり(黒木メイサ)だが、友達の明日香(堀北真希)がいじめを理由に参加せず、複雑な思いでいた。そんな旅行中、クラスメイトの一人の携帯電話にあの"死の着メロ"が着信する。その後も次々と同級生たちに届く死の着信だったが、そこには「転送スレバシナナイ」という、恐るべきメッセージが添えられていた。

死の携帯メロディがなって、変な死に方をするだけじゃ、さすがにもう誰も怖がらないので、新機軸である。つまり、「友達に転送すりゃ死なずにすむ」というわけだ。マンネリ打破としては、妥当なアイデアであろう。これにより、普段友人だと思っていた連中同士の、醜い争いが勃発、"表面上だけの仲良し"という、いかにもいまどきの10代らしい本音、本性が暴かれる。これは面白い。

とはいえ、イジメの復讐なんて動機は芸なし、ひねりなしでいただけない。まあ、監督(テレビ版も担当)としても、人気シリーズの3番手として、与えられたテーマを無難にこなしたといった程度の仕事なのであろう。もともと、あまり多くを期待すべき映画ではない。

もともとこのシリーズは、一発目でほとんど旨味を出し切っており、あとは出がらしみたいなものだ。この3作目にしても、「転送」で広がりを見せたとはいえ、若い子たちがキャーキャー騒ぐばかりで能がなく、まったくもってグダグダである。いくらなんでも、そろそろやめるのがよかろう。

堀北はかわいいが、彼女をはじめとする若手女優たちにしても、観客を心底ビビらす迫真の演技というものは期待できない。そもそも、やる気があるのかどうかもわからない。

安直に韓国ネタを取り込んで、適度に稼げればいいという考えが見えてしまう、お手軽品。パート1はとてもよかったのだが、ずいぶんと落ちぶれたものだ。それでもこのシリーズが好きという方を止めはしないが、もうちょっとがんばりましょう、というのが私の率直な意見だ。



連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.