『TRICK トリック 劇場版2』75点(100点満点中)

万人向けの楽しいミステリ映画

『トリック』は、2000年から続く人気テレビシリーズだ。阿部寛演じる物理学者と、仲間由紀恵演じる奇術師のかけあいが楽しい、笑えるミステリである。

この劇場版第2作では、上田(阿部寛)がある青年から、助けを求められる。彼によると、幼馴染の少女(堀北真希)が、ある霊能力者(片平なぎさ)が支配する島に連れ去られてしまったのだという。著書を誉められ、調子に乗った上田は依頼を快諾、当たり前のように奈緒子(仲間由紀恵)を半ば強引に連れて、島に上陸するのだった。

思いついたら即実行、というわけで、全くストレスを感じさせない、テンポの速い展開である。このあたりはいかにもテレビ世代向け。いくつものミステリトリックが楽しめるが、それぞれ一切もったいぶらず、どんどん手の内を見せて先に行く。誰もが超能力かと思ったものを、仲間がトリックを暴いていくシーンは、私のような手品の素人にとっては、大きな驚きがある。

その合間には、巨根ネタやら貧乳ネタなどおなじみのギャグが満載で、いやというほど笑わせてくれる。通信教育で習った空手による、マトリックス風の、マヌケなアクションシーンもある。もう、始まってずいぶんたつシリーズだから、堤幸彦監督による世界観もしっかり確立されており、同時に客の喜ぶポイントもよくわかっていると感じさせる。

このシリーズの良いところは、なんといってもメインとなる二人の役者のうまさ、キャラクターの面白さにつきる。今回は、生瀬勝久や野際陽子は脇役に徹し、本筋は仲間と阿部の関係に焦点を絞っているが、そのおかげでシリーズの初心者にもわかりやすく、すんなりとこの、奇妙でゆるいTRICKワールドに入り込めるはず。また、シリーズのファンにとっては、二人の関係に大きな進展が見られるところも楽しめるだろう。これで完結を匂わせているが、果たしてどうなるものやら。

『TRICK 劇場版2』は、シリーズのファンもそうでない者も楽しめる、万人むけのライトなお笑いミステリで、安心してオススメできる。気軽にぶらっと映画館に入った人が、なかなか面白いじゃん、と笑って出てくる、そんなタイプの映画だ。



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