『プロミス/PROMISE─無極』60点(100点満点中)

チャン・ドンゴンの扱いが気の毒

『プロミス』は、中国映画界の大物監督チェン・カイコー(『さらば、わが愛/覇王別姫』ほか)による、ファンタジーアクション大作だ。注目はそのキャスティングで、トリプル主演として日本の真田広之、韓国人気スターのチャン・ドンゴン、香港のセシリア・チャンと、東アジア各国の人気者、それも比較的国際的に名の通った人物を集めている。

物語の舞台は古き時代、アジアのどこか。戦場に倒れた死体から食料をあさる少女の前に、女神が現れる。決して真実の愛を得られぬ代わりに、不自由なく生きられるとの契約を交わした少女は、やがて美しく成長する。そして、自分を救ってくれた大将軍(真田)の寵愛を受け、幸せに暮らすかと思われたが、実は彼女を救ったのは、俊足を誇る大将軍の奴隷(チャン・ドンゴン)であった。致命的な誤解をはらんだまま、やがて3人の関係に破滅の予感が迫りくる。

韓流、華流の大スター夢の競演、との宣伝文句に素直に喜ぶか、日韓代表の男2人が中国系(厳密には香港だが)の女にメロメロになって屈服する話(冊封復活願望?)と見るかは人それぞれだが、いずれにせよ意味深な映画だ。映画自体は力の入った娯楽大作で、架空の世界を舞台にしたファンタジーながら、中国人民解放軍も撮影に協力した数々のスペクタクル映像が見所だ。

気になる役者たちだが、真田広之はクレジットにおける位置も最上部と、かなり気を使われている印象。伝説の鎧をまとう大将軍の役ということで、戦闘の見せ場はほぼ独占、さすがの立ち回りを見せる。鎧のデザインや色彩も鮮やかで、非常に美しい。

これに比べ、チャン・ドンゴンは俊足がとりえの奴隷役なので、いつもボロを着ている。走り方も当初は四つんばいで、ゴキブリのように想像を絶する速度で動き回り、ちょっと気持ち悪い。彼の俊足を演出するVFXがまたアニメチックなので、失笑寸前といったところだ。ファンは思わず目を覆う事であろう。話のキーマンではあるが、扱いはかなり悪い。

ヒロインのセシリア・チャンは、照明をきれいに当てられ、とても美しく撮ってもらっている。水浴びのシーンでは、バックヌード&手ブラ姿の肌の美しさに、目を奪われる。真田との初の濃厚な濡れ場でも、堂々の演技をみせる。

ワイヤーワークや、過剰なまでに現実離れしたCG演出、荒唐無稽なストーリー展開などは、人によっては拒否反応を起こす可能性も大だが、武侠エンタテイメント作品には、この程度のサービスはつきものだ。それにしても、登場人物の行動原理には少々根拠不明瞭な点があるが、そこはそういう話なのだから、と納得するほかはない。

結局のところ、この作品はあまり細部に目くじらを立てず、有名俳優がきれいな衣装を着て、雄大な物語を演じているという部分のみに期待して、多くを望まずに見るべき作品といえる。物語に整合性とか、説得力を求める人には向いていない。そこさえクリヤーできれば、結末が伝えてくる哲学的テーマや、よく出ている御伽噺ムードを十分に味わうことができるはずだ。

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チェン・カイコーによる、本作品の写真集です。この表紙のビジュアルイメージを見ただけでも、うっとりする人は多いことでしょう。この美術センスが今、世界中でウケている中国映画の売れ線なわけです。


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