『スキージャンプ・ペア』85点(100点満点中)

アイデアと企画の勝利

もともと「スキージャンプ・ペア」というのは、CG作家の真島理一郎による、カルト的人気をもつDVD作品である。冬季オリンピックでもおなじみの、スキーのジャンプ競技をなんとペアで跳び、そのとっぴなポーズや飛び方によって点数をつけ、まじめに実況するという発想が笑いを誘う。テレビの深夜番組などでも紹介され、今では知る人ぞ知る人気商品なのだ。

そして、それをなんと実写で映画化しようという、いわば一発企画がこの映画版『スキージャンプ・ペア』。テレビのドキュメンタリー番組風に演出された、遊び心たっぷりのバカ映画である。

内容は、この競技の誕生秘話から幾多の研究開発、そして、ついにトリノ五輪正式種目への採用までと、その決勝戦の模様からなる。前半のニセドキュメンタリー部分では、アントニオ猪木や、本物のジャンパーでオリンピックメダリスト、船木和喜選手が登場するなど、小ネタたっぷりのバカっぷりで笑わせる。そして、クライマックスの競技場面では、DVDと同様、ふざけた飛行ポーズや、政宗一成氏の妙に真面目な語り口で爆笑させる。

テンポが良く、『スキージャンプ・ペア』シリーズをはじめて見る人にもやさしいつくり。わかりやすい笑いがあふれていて万人向け、作品に対する興味が持続するギリギリの上映時間(82分)も良かった。気のあった人とレイトショーで楽しむには、これ以上の作品はあるまい。

画面がスタンダードサイズで画角が小さく、エキストラが少なくてすむなど、随所に低予算をカバーする工夫が見て取られ、なかなかの力作だなと感じさせる。しかし、やはり残念なのは、肝心のジャンプ場面になると、出演者が例のCGに代わってしまう点。大画面にあのCGは、少々キビシイ。せっかくの実写版ということで、この場面をどう撮るかには期待していたのだが。ただこれは、好みの問題もあるだろうし、バカ映画という本作の本質を考えたら、さしたるマイナスというほどではない。

展開に破綻もないし、笑いもはずしていない。まさにアイデアの勝利。テンションを高くして見に行けば、必ずや爆笑できると保証する。

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これが原作となったCG作品です。間抜けなポーズ、それに反比例するかのような大まじめな解説など、シリーズの笑い、その基本がすべてつまっています。


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