『ピーナッツ』50点(100点満点中)
さわやかで勢いのある野球ドラマ
『ピーナッツ』は、ウッチャンナンチャンの内村光良が、初めて監督した映画作品である。野球を題材にした人間ドラマで、コメディ色もたっぷり(しかしやりすぎてはいない)、万人むけの娯楽映画に仕上がっている。
そのウッチャン演じる主人公は、スポーツものを得意とするライター。かつて自身が所属した草野球チーム「ピーナッツ」について書いたドキュメンタリーが、好評を得たこともあったが、今はスランプ中だ。そんな彼が、何かを思って故郷に戻ってきた。しかし地元商店街は大規模再開発の波にもまれ崩壊寸前、かつてのチームメイトたちも、バラバラになっていた。
さて、そこから先は、仲間たちを集めてチームを再結成、ある目的のために、背水の陣で試合に臨むという王道の展開。オジサンたちの再奮起、やればできるんだという"みんなガンバろうぜ!"式の青春(?)ドラマになっている。
この作品は、監督が自らストーリーを考え、脚本を書き、気心の知れた仲間を集めて作ったという、ある意味とても原始的な映画作りの方法で撮られている。出演者はテレビ番組の共演者がほとんどで、おなじみのお笑い芸人たちが勢ぞろいしている。芸人たちは、さすがに演技は堂々として、しっかりしている。
そんなわけで本作は、とても手作り感のある、そして勢いのある"熱い映画"となっている。初めての映画作りとしてみれば、とても好感が持てる、作品への愛情を感じられる一本だ。まあ、ドラマの進行、人間描写にはまだまだ不器用なところがあってぎこちないし、泣きもあざとい。得意のギャグですら、ハズすところがあるほどなのだが、アクションは吹き替えなしだし、まあいいかとも思える。やはり野球映画における野球シーンは、この作品のように本人たちに演じてほしいと思う。
まとめると、『ピーナッツ』は、映画についてあんまりガタガタいわない人たち向けの、さわやか感動ドラマである。テレビで見慣れた顔ばかりで、映画としてはちょいと物足りない面はあるものの……いやいや、そんなコメント自体が、"ガタガタ"いいすぎなのであろう。