『あぶない奴ら TWO GUYS』75点(100点満点中)

ドタバタギャグが楽しい、アクションコメディ

アメリカ映画の伝統的なジャンルのひとつに、バディ・ムービー(主人公2人が、コンビで活躍する映画)というものがあるが、それを韓国で作るとこうなる、それが『あぶない奴ら TWO GUYS』だ。主演は『猟奇的な彼女』で、ヒロインに振り回される彼氏役を演じ、ブレイクしたチャ・テヒョン。もうすっかりおなじみの顔で、日本人にも比較的とっつきやすい。

そのチャ・テヒョンが演じるのは、カードの借金を踏み倒す常習犯。どうしようもないダメ男で、まさにはまり役だ。そこにやってきた取立ての男(パク・チュンフン)は、翌朝の期限まで、主人公の仕事(運転代行)に同行する事になった。ところが、その日彼らが代行運転した大金持ちの西洋人は、何やら怪しい取引に関与していた。しかも二人はその組織が狙うカバンを意図せず入手し、追われる羽目になる。

借金漬けのダメ男と、取り立て役の下っ端のチンピラが、巨大組織から逃げるため、やむなく協力し合うというアクションコメディだ。とにかく最初から最後まで、ベタすぎるギャグが連発、色々な意味で笑わせてもらった。女の子を間に挟んで主人公二人がケンカをはじめると、やがて片方の手が滑って女の子のムネへ……というようなお約束すぎるギャグが、これでもかと続く。こうした愚直なまでのストレートさは、いかにも韓国映画らしいもので、とても好感が持てる。

中でも、取り立ての男が自宅代わりに住んでいる(……。)健康ランドでの追跡劇、この場面は笑える。洗練とは無縁のドリフ風追跡ギャグは、日本人なら大爆笑だ。追跡側の脇役たちも含め、役者がみな、持ち味をよく発揮している印象だ。

前半はややもたつくものの、このあたりから終盤にかけては絶好調で、アクションの見せ場も適度に挟み、サービス満点。大まかなアイデア自体はよくあるものだが、細かい場面場面には、オリジナリティを出すための工夫も見られる。また、主人公たちが逃げ回る韓国の町は、有名なランドマークばかりだから、観光気分も味わえて楽しい。

最近、ダメ映画や天然系のバカ映画が多かった韓国ムービーだが、『あぶない奴ら TWO GUYS』は違う。韓流ファンじゃない、ごく普通の日本の若者たちが、カップルやお友達同士で観に行って楽しめる、数少ない韓国エンタテイメントだ。偏見を持たず、ぜひ劇場に足を運んでほしい。



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