『探偵事務所5” 5ナンバーで呼ばれる探偵達の物語』55点(100点満点中)

独特な世界観がしっかりと構築されている

探偵とは、男の子の多くにとっては夢ある職業である。警察にもお手上げの難事件を、クールな名探偵が飄々と解決してしまう、そんなシチュエーションは永遠の憧れだ。相互リンクしている「探偵ファイル」だって日本一の人気ページだ。やはり、「探偵」という響きには、何か特別な魅力があるのだ。まあそんな男の子たちも、成長して悪いお父さんになったりすると、探偵を何より恐れるようになったりもするのだが。今日も奥さんの手先が背後をつけてないか、みんなも気をつけよう。

さて、この『探偵事務所5” 5ナンバーで呼ばれる探偵達の物語』という長いタイトルの映画における「探偵」は、まだ純情な男の子が憧れる「名探偵」に近い。浮気調査を主とする現実のそれとは違う、夢のある世界である。彼らは、社会の悪をこらしめるのだ。

映画は、二部構成になっていて、前半は成宮寛貴が新米探偵の591(この探偵事務所では5から始まる3桁のコードネームで活動するのだ)を演じ、会長の孫娘の友達の失踪事件を追う。

後半の第2話は、主人公が宮迫博之演じる522(番号が若いほどベテランになる)に代わり、そこに前半の主人公成宮寛貴が加わり、悪の美容整形外科の謎を追う。

テンポいい展開と音楽を持つドラマで、男の子にとっては夢のある世界観も楽しい。コスチュームや事務所内の雰囲気、探偵が使う小道具など、あらゆるところに遊び心があふれている。そして、その世界観はなかなかしっかりとしている。インターネットでは26話分のショートムービーが公開されるそうで、そこには沢山の別の探偵が登場するという。私はそちらは見てはいないが、少なくとも、そこまで色々と話を膨らませられるだけの、しっかりとした設定があるということだ。

舞台は川崎の工場街で、これはなかなか目の付け所がよかった。寂れた雰囲気はこのドラマにぴったりだ。監督は、永瀬正敏主演の「私立探偵濱マイク」シリーズを手掛けた人だから、探偵モノのキモがよくわかっているのかもしれない。

それにしても、扱うテーマがまた過激だ。美容整形業界のタブーに、ある意味触れている内容だから、恐らく将来のテレビ放映は不可能だろう。この話には、荒唐無稽なドラマと言って簡単に切り捨てられないだけのリアリティがある。これには感心した。

成宮寛貴は、この手の役は苦手なのか、一人主演だと少々みていてつらい。だが、そこに宮迫が加わると俄然面白くなってくる。彼は純粋に演技がうまいし、共演者を生かす力も持っている。

しかしまあ、見る人を多少選ぶ題材である事は確かだから、ネットの短編が先に見られるなら、そちらを見て好みかどうか判断していくというのも一手であろう。

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