『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』70点(100点満点中)

日本人の趣向に合う健全アメコミ映画

マーベル社から61年に発表された、老舗アメコミの映画化。ダークさはなく、コメディタッチで明るく仕上げた全年齢向け娯楽作品だ。

主人公の科学者たちは、ある実験のため宇宙ステーションに滞在した際、事故で強力な宇宙嵐の放射線に晒されてしまう。そのため彼らのDNAは変化し、それぞれが特殊な能力をえることになる。やがて主人公たち4人は、その能力で人助けをすることになる。しかし、当時ステーションに居合わせ、実験の失敗で大損害を受けたスポンサーの男だけは、ひとり邪悪な存在へと身を落としていくことになる。

ひょんな事から超能力を身につけたヒーローたちが大活躍する、いかにもアメリカ的な楽しいヒーローアクションだ。彼らのもつ能力とは、手足が自在に伸びるリーダーの男、体が岩石のように硬化して怪力をえた男、体を透明にできる女、炎を自在にまとい、空を飛ぶ男といった感じだ。見た目にもわかりやすく、映像向きな能力ばかりだ。

この映画の中で特筆すべき場面は、彼らがはじめて人々の大ピンチを救う橋の上のシーン。ここでは爆走する大型トレーラーを体で止め、はしご車をひっぱりあげるマッチョマンの物凄い活躍が見られるが、その迫力たるや相当なもの。この場面を音響のいい劇場でみたら相当な快感を得られるだろう。

本作のストーリーの流れをざっと言うと、4人の主人公と悪のボスがともに超能力を得る過程、そして苦悩、やがてその力を認めて生きていくことを決断するまで、といった感じ。話自体他愛も無いし、どの要素もえらくコンパクトかつテンポがよいので、簡単にすいすいと流れていく。

悪のボスなど、よくわからん理由で悪に目覚めるし、4人はろくに苦労もせず能力を使いこなしてしまうしと、あまりの都合のよさには笑いが出る。しかし、あくまで健全なアメコミ映画として、マニアックに行きすぎていない点はよい。これは恐らく、多くの日本人に合うだろう。印象としては、少年ジャンプ系の漫画の雰囲気がある。

ラストの戦いの場面もなかなかよく出来ている。4人がそれぞれの能力を意外な形で生かし、協力しあって敵ボスに挑む展開は盛り上がる。漫画好きの人には、「ジョジョの奇妙な冒険 第三部」におけるディオと主人公チームの最終対決の場面のような、アイデアあふれるバトルシーンとでも言えばわかりやすいか。……いや、これはちと誉め過ぎだな。どうでもいいが、邦画界もそろそろあのコミックを、大予算で実写映画化してもいい時期じゃないかと私は思ってるんだが……。

さて、話は脱線したが、そんなわけで『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』はそのアホらしい副題とは裏腹に、なかなか楽しいエンタテイメントであった。細かい部分には、ほほえましいマヌケな点もあるが、それもあまり嫌味にならない。若いカップルが気楽にデートで見るにはまあまあのチョイスであると思われる。



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