『魁!!クロマティ高校 THE☆MOVIE』60点(100点満点中)

クロマティ選手が怒り狂うほどのバカらしさがお見事

週刊少年マガジンで連載中の野中英次の人気ギャグ漫画を、『地獄甲子園』などおバカ映画作りに定評のある山口雄大監督が実写映画化したもの。

誰よりも真面目な少年神山高志(須賀貴匡)は、中学時代のカツアゲの危機を救ってくれた山本(坂口拓)に憧れ、彼と同じ都立クロマティ高校に入学した。だがそこは、高校生、いや人間とは思えない連中の巣窟であった。

山口監督らしい、ぶっとんだお馬鹿映画だ。今回はVFXも多用して、ふざけた笑いを連発する。とくに前半はコミック版の雰囲気をうまく生かしたギャグの切れがよく、原作ファンなら腹が痛くなるほどの爆笑を実現している。

特に、主演の須賀貴匡(「仮面ライダー龍騎」)が役柄にぴったりで、演技も良い。彼を起用できたことはこの映画にとって幸いであった。フレディ役の渡辺裕之らその他のキャラクターも、おおむね悪くない配役で、それぞれが笑わせてくれる。竹之内豊役の高山善廣(プロレスラー)だけはあまりにイメージが違うのでちょいと不安であったが、ハイジャックのエピソードでは私も笑いが止まらなかった。

ただ、宇宙人のエピソードを描く後半はやや息切れ。アクションの見せ場を作るために選ばれたエピソードなのだろうが、これはいまいちだった。……と書いてわかるとおり、映画版クロ高は、短いエピソードの羅列で構成されている。

あのとんでもない原作を、それなりに味のある実写映画にできたことにはいち読者として驚く限りだが、前半が良かっただけに全体としてはちょっと不満も残る。もと巨人軍のウォーレン・クロマティ選手が名前を無断で使われたといって公開差し止めの騒ぎを起こしていたが(そりゃもっともな不満といえなくもないが)、結果としては良い宣伝になる程度のものであろう(この件は和解済み)。ナンセンスでばかげた映画が見たい方は、ぜひお出かけを。



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