『星になった少年 Shining Boy and Little Randy』65点(100点満点中)

なける部分もある実話ドラマだが……

10代にして、日本初のゾウ使いになった坂本哲夢氏の実話を映画化した感動ドラマ。主演は先ごろ『誰も知らない』でカンヌ史上最年少の最優秀男優賞を受賞した柳楽優弥(やぎらゆうや)。

動物プロダクションを経営する両親をもつ哲夢(柳楽優弥)は、小学校になじめずいじめられていた。そんな彼も、新しくやってきたゾウのランディとの交流には心を開く。やがて本格的なゾウ使いになりたいと思った彼は母(常盤貴子)に、中学には行かずタイに修行に行きたいと申し出る。

なかなか泣ける感動の動物ものドラマだ。柳楽優弥は相変わらずセリフをしゃべるのがやや下手だが、存在感、オーラといったものを感じさせる名演で、劇映画の主人公にふさわしい役者だ。この映画ではほとんどカメラは彼中心にまわっているが、それでも観客をそれなりに引き付ける魅力を持っている。母親を演じた常盤貴子も、安心してみていられる安定した演技だ。

物語展開としては、終盤に流れを決定付ける大事件がおきるものの、その後がだらだらとしていて良くない。原作は哲夢くんの母親が書いた『ちび象ランディと星になった少年』だが、映画版は哲夢くんの印象を強く観客に残すためにも、あの後はささっと終わらせるよう構成したほうが良かった。

また、蒼井優演じるヒロインとの恋も本筋に深く絡んでこないので、ややとってつけの印象。この映画のように実話を時系列に単純に追いかける構成では、よほど上手に語っていかないと複合的な厚みというものがドラマに生まれてこない。

映像としては、タイでロケをした珍しい映像と、柳楽優弥自身が体当たりで学んだというゾウ使いぶりが見所か。ゾウが大好きで、ゾウに情熱をかけて生きた少年の話を説得力をもってみせている。

まあ、泣ける実話を求めて劇場にいく方には、それなりにホロリとさせる場面はあるが、全体としてはややかったるい退屈な出来。総合的には65点といったあたりだろう。

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この映画のサントラは、坂本龍一が担当していてゴージャスです。タイの風景にも似合うし、とても良いと思います。


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