『逆境ナイン』70点(100点満点中)

原作を読んでない人でも楽しめる楽しいギャグ映画

熱血スポ根マンガの傑作(?)とされる島本和彦の同名原作を、突き抜けたお馬鹿映画として実写映画化したもの。超映画批評ブレーンの、とある島本和彦ファン(21歳大学生 男)によると、「ムダに熱い漫画を描き続けている熱血漫画家」による、「無理とデタラメから構成され、女子供はすっこんでろ! といわんばかりの世界を熱く描いた伝説的な原作」の実写化だ。

校長(藤岡弘)から廃部勧告をうけた全力学園野球部キャプテン不屈闘志(玉山鉄二)は、持ち前の逆境に強い精神から猛反発、思わず甲子園出場を宣言してしまう。彼の熱い魂に感化された野球部員たちも、よくわからない猛練習を重ね、いよいよ試合当日を迎えるのだが……。

映画版『逆境ナイン』は徹底したおバカ映画として実写化された。とはいえ、漫☆画太郎原作の『地獄甲子園』のような異様なまでのチープさ、ばかばかしさはなく、カメラも音楽もきちんとした、比較的まともな映画になっている。撮影中は作者ご本人も現場に現れ、おとなしく見学して帰っていったという。(新刊「新・吼えろペン」の1巻にも作者から見た撮影風景が描かれている)

主役の玉山鉄二のキャラ作りが成功しているようで、大げさきわまりない逆境演技にもまったく違和感はない。マンガチックになりがちなこの手の演技を自然にやれるというのは、生まれ持った才能なのか努力なのか。彼をはじめ、風変わりな登場人物を主要なキャストがみな上手に演じてくれているので、安心してみることができる。

CGを使った見せ場や、ギャグの数々も要所で決まり、けらけら笑いながら楽しめるだろう。ヒロインの女の子(堀北真希)もとてもかわいらしい。

とはいえ、やはり特筆すべきは主人公のキャラクター。どうみてもバカで、むちゃくちゃな人間であるが、妙に共感してしまう憎めないヤツである。私は残念ながらこのレビューを書くまでに原作を読むことができなかったのだが、少なくとも原作を知らないものを楽しませるだけの魅力は充分にある。また、映画を見ると原作を読みたくなる。あとは、熱狂的な人が多いといわれるこの原作のファンがどう評価するか、これは私も注目していきたいと思う。

逆境ナイン 1
この表紙! このタイトル文字! 中身が想像できる(でもそれをさらに上回る)うわさの原作がこれ。映画化にあわせ、ついに復刻しました。


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