『機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者』50点(100点満点中)

テレビ版のファンにおくる第1章

伝説的な人気を誇るテレビアニメ「機動戦士ガンダム」の続編となる「機動戦士Zガンダム」全50話を、ダイジェストとして3部作の映画にしたその1作目。

主にエリート階級の支持をうける地球連邦軍内の組織「ティターンズ」と、スペースノイドの独立自治権運動組織「エゥーゴ」の対立が深まる中、反骨精神あふれる主人公の少年カミーユ(声:飛田展男)は、ふとしたトラブルからティターンズの新型モビルスーツをハイジャックしてしまう。彼はクワトロ(池田秀一)と名乗る男の言うままに、やがてエゥーゴに身を投じていく。

テレビ版は今となっては驚異的な全50話という長編で、この映画版ではそれを編集、新カットも加えてあらたに3部作に組みなおすという。前作『機動戦士ガンダム』も同様に3部作で映画化され、爆発的なヒットを記録した。私としても、リアルタイムで楽しんだガンダムはこの『Z』までなので、懐かしい思いでスクリーンに没頭した。確かテレビ版の最初(注)の主題歌は、森口博子のデビュー曲だった気がする。注…5/24追加:前期でなく後期のオープニング曲でした(とある読者様より)

この劇場版は、CG時代の再編集版ということで、相当高度な手直しが行われているという。まず、テレビ用のスタンダードサイズの映像を、映画のためのビスタサイズに再フレーミング、その過程でフィルムのゴミなどを取り去り、色調整を再度行い、スクリーンに映えるよう再生させた。

そして、新たに加えられた映像には、その逆にフィルム映像っぽさを出すため、わざとゆれやノイズを加えることで、両者に違和感がないように加工された。

期待のモビルスーツやメカ類には、新たに細部が描き込まれ、映像としてのクォリティを高める工夫もなされている。ぱっと見ではそうそうわかるものではないが、かなり手をかけているというわけだ。こだわりの観客にはうれしい限りであろう。

初代ガンダムの映画化の際には、ア・バオア・クーの風景にテレビ本編では登場しなかった旧ザクが出てくるなど、見に行った人を喜ばせる追加カットが話題となっていた。残念ながら私はこのZにおいては、そこまで詳しくテレビ版との違いを判別するほどの記憶を持っていないのでコメントできないが、マニアの方はぜひお出かけになって、大いに語ってほしいと思う。

さて、こうした古いアニメを再見すると、いろいろと新たな発見があって面白い。たとえば当時はすごいと感じた細やかなメカ類の描写も、今となってはさすがに時代を感じさせる。しかし、マッチョなリック・ディアスやスピーディーかつ強烈な印象を残した変形モビルスーツ、アッシマー、そしてギャプランらが戦う迫力には、今見ても変わらず心踊らされるものがある(やせっぽちの百式はあんまり好きじゃないのです)。ただ惜しむらくは、それぞれの見せ場が時間的に短く、心行くまで堪能できないところか。

それは人間のキャラクターに対しても同じで、物語の核となるシャア&カミーユについてはまだいいが、脇の魅力的な登場人物たちは思わせぶりに登場して、あっというまに去っていく。これはちょっとさびしい。まあ、時間の都合上やむをえない事なのだが……。ちなみに前作の主人公アムロ・レイは映画の最後にちょびっとだけ登場し、その活躍ぶりは次作へと持ち越される。まあ、その辺までの話が描かれると思ってくれればいいだろう。

連邦軍とジオン軍が戦っていただけの前シリーズと比べ、このZは少々勢力図がわかりにくく、映画から見る人はもちろん、少々記憶があやふやになっている人も、事前にざっと復習しておくのが望ましい。

何にせよ、まだZの物語は始まったばかり。ガンダムファンのためだけに作られたといっても過言ではないこの映画版の続きを、一日も早くレビューできると良いのだが。

 
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