『クローサー』50点(100点満点中)

なぜナタリー・ポートマンのヌードをカットしてしまうのか

全米の各映画賞をにぎわせた、ジュリア・ロバーツ(「プリティ・ウーマン」ほか)主演の大人向け恋愛ドラマ。英国発、日本を含む世界中で人気を博した舞台劇の映画化だ。

小説家志望の男(ジュード・ロウ)は、ロンドンで出会ったストリッパー(ナタリー・ポートマン)と恋に落ち、同棲をはじめる。しかし、やがて彼は魅力的な写真家(J・ロバーツ)に出会い、そちらにひかれてゆく。

さらにもう一名、写真家と出会う医者の男(クライヴ・オーウェン)という人物が後から出てきて、この合計4人の恋愛ドロドロ模様が描かれるというお話だ。

まず注目すべきはストリッパー役のナタリー・ポートマン。彼女はいまだ根強い人気の『レオン』で、主人公の殺し屋にくっついてる少女役で知られるが、最近ではシャンプーのCMで剣を振り回してるえらく髪のきれいな美少女といったほうがピンとくる方も多かろう。

そんな、まだ20代前半、あどけない顔つきの清楚な美人といったイメージの彼女が、なんとストリッパーである。本作では、意を決してその裸体を惜しげもなくあらわにしてくれている……といいたいところだが、彼女のエージェントがつまらん横槍をいれたせいで裸は全部カット。スタイル抜群なのに露出一切ナシのとても寂しい出来となった。

なんといってもこの映画における彼女の役柄はキーポイントであり、ナタリー自身も髪をバッサリ切って見事なあばずれぶりを演じているというのに、裸なしはいかん。脱がないストリッパーなど、ネタのない寿司のようなもので、リアリティがまったくない。

その他の人物描写や、男女の恋愛感情、たとえば浮気に対する嫉妬心やそれに対する男の対応など、恐ろしいほどリアルに描けているだけにこれは痛い。

また、映画版『クローサー』は舞台版と比べ、結末含めかなりの変更がある。私が日ごろ言っているように、舞台劇の映画化は非常に難しく、この映画の作り手も相当苦労してその置き換え作業を行った形跡が見られるが、結果としてはやはり映画としてはイマイチだ。話の結論も舞台版の方がスッキリしているように思える。

また、ジュリア・ロバーツという女優はどうも個人的に「女」をあまり感じないので、その点も私にとってはマイナスだ。『ノッティングヒルの恋人』に代表されるロマコメ純愛モノにはぴったりの女優だと思うが、こうしたエロ有りドロドロ系のお話にはあまり適していない気がする。

まとめとして、言及しなかったが、男優も含めて非常に豪華なスター競演のドラマである上、みなおおむね素晴らしい演技をみせてくれるのでとりあえず駄作感はない。とはいえ、キャスティングについての疑問点とナタリーのヌードのカットにより、大きく出来映えがスポイルされたと感じるのは残念なところであった。

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