『美しい夜、残酷な朝』60点(100点満点中)

若返り餃子の中身が気持ち悪い

韓国、香港、日本から一人ずつの映画監督が、それぞれ中篇映画を持ち寄って並べたオムニバス作品。日本篇は三池崇史、韓国篇がパク・チャヌク、香港篇はフルーツ・チャンといった、それぞれ個性派とされる各監督の競演となっている。ジャンルはどれもダークファンタジーとでもいうような、ちょいと不気味な物語だ。

日本篇の主演は長谷川京子。いまだに原稿を手書きするという謎の美人作家の役で、彼女は担当編集者の好意に対してもまったく心開く様子がない。じつは彼女にはかつて双子の姉がおり、その事故死に関して血塗られた秘密があった……という話。

三池監督のこの作品はかなり実験的な一本で、娯楽色の強い他の2本とはかなり違った印象。「静」なる映像を作りたかったという監督の言葉どおり、静かではりつめるような空気感を演出できているが、お話としては一番退屈で面白みがない。

パク監督(「オールド・ボーイ」ほか)による韓国篇は、さすがはサディスト志向の監督らしい、痛すぎる虐待描写が秀逸な一本。日本でも大人気のイ・ビョンホンがノーギャラで出演。彼はこの映画の中で、理不尽なストーカーに監禁され、苛め抜かれる哀れな主人公の映画監督役を演じている。

あのハンサムなビョン様が、あんなに恥ずかしい事をしてしまうなんて、オバサマファンが見たらきっと卒倒モノだ。彼がひたすらいじめられるだけの話だが、これがなかなか面白い。

チャン監督(「ハリウッド★ホンコン」ほか)の香港篇は、落ち目の金持ちマダムが、衰えはじめた美貌を維持するため、謎めいた女料理師の「若返り餃子」を食べに行くという話。本国の香港では、今回の短編とはエンディングも展開も違う90分のロングバージョンが存在するという、猟奇的なホラー作品だ。

餃子の中身を怪しいとは思っていても、ついその劇的な効果に引かれて食べに言ってしまう主人公。コリコリと噛む音がヒジョーに気色悪い。餃子を作る女、食べる女の二人芝居のような物語であるが、これが3本の中で一番面白い。

やがて具材が明らかになる終盤の気持ち悪さたるやかなりのもので、ホラーが苦手な方にはちょっとキツかろう。映像のあちこちからあふれる不気味ムードがこの手の映画のファンにはたまらない。

3本とも、種類は違えどよくできた映像美で、それぞれ味付けの違った不気味話を存分に楽しめる。こうしたジャンルが好きな方や、各監督の手腕を信頼しているファンにとっては、期待以上に楽しめる3つセットといえるだろう。

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