『ドッジボール』40点(100点満点中)

ドッジボールをネタにしたお馬鹿映画

意外なスポーツ、ドッジボールを題材にしたスポーツコメディ。

寂れきったトレーニングジムの貧乏オーナー(ヴィンス・ヴォーン)は、宿敵でありリッチでマッチョな隣のジムオーナー(ベン・スティラー)による買収の危機にあっていた。30日以内に5万ドルを作らねばならなくなった彼は、ラスベガスのドッジボール大会の優勝賞金を狙い、ジムのマヌケな仲間たちを集めた。

ジャンルはおバカ映画というやつで、全編アホでナンセンスなギャグの連発。スポーツを題材にしてはいるが、それ自体が見所になっていないところはちょっともったいない。

この作品に出てくるドッジボール球技は日本人が小学校のころやっていたものとは違い、国際ルール(?)に基づいている。劇中でもルールは説明されるが、簡単に違いを言うと俗にいう外野がなく、キャッチするとアウトになった仲間が一人復活できる。使うボールも1個ではない。見ればわかるがかなりスピーディな試合展開であり、撮り方によってはこの試合シーンをメインにしたスポーツ映画ができそうだ。

『ドッジボール』は大して予算もかけてないし、スポ根でもスポーツ映画でもないから、試合シーンに迫力はないし、ストーリーがそれに合わせて盛り上がるわけでもない。リアリティなど無視したいいかげんな理由でどんどん勝ち進んでいく。それよりも、ろくでもないジム仲間たちのめちゃくちゃなキャラクターだとか、化け物じみたマッチョ女などが活躍するトーナメントのバカバカしさを楽しむ映画だ。

とはいえ、そうしたおバカなキャラクターたちにいまいち魅力がないので盛り上がらない。主人公と、ベン・スティラー演じる隣のオーナーあたりはいい雰囲気であるが、その他大勢がちょいとパワー不足。外国人がみるとまた違うのだろうが、私的な印象ではどうにも笑えない。

なお往年のアクションスター、チャック・ノリスや『ナイトライダー』のデヴィッド・ハッセルホフなどがチラっと出ているので、お好きな方は見逃さないよう。



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