『コンスタンティン』75点(100点満点中)

好きな人にはたまらない作品なのだが……

その神秘的でハンサムなルックスで人気のキアヌ・リーブスが、『マトリックス』シリーズの主人公ネオ役のあとに選んだというSFアクション大作。

主人公(K・リーブス)は各地の超常現象を解決している悪魔祓い。彼は地獄や天国から人間界に侵入してきた存在“ハーフブリード”が見えるという特殊能力を持つ。その能力に悩み、かつて大罪である自殺未遂をした事のある彼は、すでに死後の地獄行きが決定されている。しかし、そこがあまりに恐ろしい場所だと知ってしまった今、彼は天国からのお目こぼしを勝手に期待して、地獄からのハーフブリードを日々退治しているのだった。

ところがそんな勝手な努力を、意地悪な神様&天使はまるで認めようともしない。しかも悪いことに、ヘビースモーカーである主人公は肺がんと判明、余命1年と宣告されてしまう。

『コンスタンティン』は「人間界を舞台に天国と地獄が縄張り争いをしている」という話で、ずいぶん身勝手な神&悪魔の言い分には主人公ともども人間として腹が立つわけであるが、どうやらイスラム教の皆さんも同様だったか、ブルネイではこの映画、宗教上の理由で上映禁止になったそうだ。

原作は「ヘルブレイザー」というややマイナーなアメコミ。ヨレヨレの上着に安タバコという中年キャラクターが渋い。キアヌ・リーブスは原作の主人公より少々華奢なイメージだが、肺がん末期らしい生命力の無さはよく表現できていた。インタビューなどによれば、本人もかなりこの役には入れ込んでいるようだ。

冒頭から「運命の槍」(ロンギヌスの槍ともいう、磔にされたキリストのわき腹を刺した兵士の槍のこと)だの、堕天使ルシファー(絶対神ヤハウェに反逆し、地に落とされた天使。サタンのこと)だのといった言葉が何の説明も無く連発される。聖書を背景にした独自の世界観は奥行きを感じさせ、好きな人にはたまらないが、宗教、オカルトについての予備知識がない方には何が何やらサッパリわからないという諸刃の剣だ。

キアヌ主演のファンタジー大作ということで、予告編は『マトリックス』らしい雰囲気をかもしだしているが、CMのナレーターが同じ人だからといってこの両者に似てる部分はほとんどない。こちらはややマニアックな人向け、カルト的と表現されそうな一本だ。観客に迎合しすぎなハリウッドの娯楽映画としては、最大級に不親切なつくりといってよい。

しかし、決して駄作というわけではない。世界設定は細かいところまで目が行き届いているし、地獄を表現した映像もすばらしい。キアヌの細身の肉体による切れ味抜群なアクション、ガブリエル役の女優の性別を超えた恐るべき存在感は特筆に価する。クライマックスの二転三転する展開も見ごたえ十分だ。

ようするに『コンスタンティン』は、世界観や宗教用語、聖遺物崇拝などについてほとんど無説明で話が進むので、その点を納得した上でいかないと良さがわからない映画ということだ。なお、長い長いエンドロールの後には重要なワンシーンが残っているので、途中で帰らないように気をつけよう。

 
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