『香港国際警察 NEW POLICE STORY』85点(100点満点中)

ここ10年のジャッキー映画の中では文句なしナンバー1

人気アクションスターのジャッキー・チェンが、久しぶりに香港映画界に復帰を果たしたアクションドラマ。本作は、アジア各国で公開され、大ヒットを記録した。

舞台は現代の香港。犯行後、自ら通報して警察との対決を楽しむ凶悪な銀行強盗グループの前に、多数の警察官が死傷した。犯人たちはまんまと逃げのびたかに見えたが、チャン警部(J・チェン)は優秀な部下とともに、彼らのアジトに自信満々で乗り込んでゆく。

彼自身、「自分のアクションの中では最高傑作」と評する往年の名作『ポリスストーリー』の名をひっさげ、ジャッキーが香港映画に戻ってきた。ハリウッドに進出していたここしばらくは、似たような役柄、内容の凡作が続いていたが、この『香港国際警察 NEW POLICE STORY』は相当本気で作った映画らしい。まさに、性根の座った傑作に仕上がっていた。

この最新作は、名前こそ同じだが過去のポリスストーリーシリーズとストーリー上のつながりはなく、完全なオリジナル。しかし、アクションのコンセプトや全体のムードはいい具合に過去の作品のそれを引き継ぎ、さらに現代的にアレンジした印象になっている。ちゃんとバスの上での素晴らしいアクションシーンもあるし、ハリウッド時代にはあまり見られなかったシリアスなジャッキーの演技も大きな見所だ。

クンフーシーンも、相手役の若い役者の動きがとてもよく、大変見ごたえあるものになっている。ワイヤーを使っている場面も多いようだが、画面からそれを感じさせない点もいい。かつてのリアルアクション志向が再現されているかのようで、ファンにとっては満足感が得られるものだろう。

銃撃戦、爆発、クンフー、スタント、香港アクション界のもつ引き出しを存分に味わえる素晴らしい映画だ。それぞれのアクションはスパルタンかつハードな仕上がりで、いかにも本気といった味がする。久々にジャッキー映画で熱くなれることうけあいだ。

シリアスなストーリーもとてもいい。リアリティにこだわらない香港映画らしい荒っぽさ、豪快さを備えながら、それでもラストで泣かせる構成はお見事だ。

『香港国際警察 NEW POLICE STORY』は、間違いなくここ10年のジャッキー・チェン主演映画の中では最高傑作だ。あなたがかつて、彼の映画に興奮したことがあるのならば、これを映画館で見ずして何を見る、といったところだ。もちろん、若いころに比べたらスピードやキレは落ちているが、この映画だけ見る分には何一つジャッキーの動きに不満はない。これは絶対見逃せない一本といえる。ぜひ、映画館でご鑑賞あれ。



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