『シベリア超特急5』20点(100点満点中)

脱力おバカ映画はまだまだ健在?!

映画評論家水野晴郎監督の列車ミステリー第5弾。PART4は舞台劇なので、映画としては4作目となる。カルト的人気を誇るおバカ映画だ。

1941年、モスクワからシベリア超特急に乗り込んだ山下奉文陸軍大将(水野晴郎)と佐伯大尉(西田和昭)は、到着地である満州里までの7日間で、義経の財宝の古地図をもつ乗客を突き止め、確保せよとの電報を受ける。

「シベリア超特急」シリーズは、MIKE MIZUNOこと水野晴郎の監督、主演でおくる(一部に)人気の個性的なミステリドラマだ。水野御大の棒読み演技、論理的な推理過程をすっ飛ばした謎解き、無駄に豪華なキャストといったダメ映画の基本を押さえた作り。そんなシリーズもついに5作目となった。

今回私は、試写室ではなくVHSで本作品を鑑賞させてもらったのだが、まず送られてきたテープが凄かった。そのテープには「シベリア超特急」と印刷された綺麗なラベルが張ってあったのだが、そのすぐ右に赤マジックの手書きで「5」とある。私はそれを見て5分ほど笑いが止まらなかった。映画を見る前に笑わせてくれるとは、さすがというほかない。

今回は「180秒に1回のアクション」が評判だというので見てみたら、最初のアクションシーンが始まったのは、開始して30分も経った後だった。役者はセリフをかんでるし、そのテイクをそのまま採用しているしと、テキトーさ加減は相変わらずのようだ。

とはいえ、だいぶ映画としての体をなしてきているのも事実で、アクションシーンのいくつかはこれがシベ超だと思えば「すごい!」といえるレベル。もちろん、苦笑失笑まちがいない、お馬鹿な見所もたくさんある。

名作からの引用で往年の映画ファンをあきれ……いや、楽しませた後は、いよいよ最大の見所である「万里の長城」落ちである。地球上でもっとも長いこの建造物を転げ落ちるという前代未聞の大アクション、これはもう間違いなく映画史に残る名場面といえるだろう。

シベ超は低予算だ、と思ってみている人を驚かせる要素もたっぷりだ。なんとCGを使ったスペクタクルや、車窓の景色、伴走する別の列車までが登場するというスケールの大きさ。山下陸軍大将もついに軍刀を抜き、華麗な剣さばきを見せる。これには驚きだ。

エンドクレジットの後には、お約束の大どんでん返しも待っている。例によって絶対に明かしてはいけないそうなのでその内容については語ることができないが、隠すことに意義があるかどうかはよくわからない。

シリーズ最高の製作費7000万ルーブルをかけたこの最新作。すでに6,7(舞台)も作られた。このシリーズのファンならとにかく見ておかねばならない一本だ。

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シベリア超特急シリーズ


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