『でらしね』55点(100点満点中)

黒沢あすかのヌードが見所?

奥田瑛二がホームレスの画家を、黒沢あすかがオールヌードのモデルを演じる異色のラブストーリー。

もと画家のホームレス(奥田瑛二)が、拾ったダンボール板に墨汁で描いた絵を、毎日必ず買っていく女(黒沢あすか)がいた。女は有名画廊のバイヤーで、男に大作を描いてほしいと頼むが、なぜか彼はかたくなに拒む。そんなある日、男は発作を起こして病院にかつぎこまれてしまう。

ホームレスがダンボールに絵を描き、売って暮らすという発想は面白い。映画的だし、いいアイデアだ。この男を演じるのは画家としても活躍する奥田瑛二で、劇中の絵はすべて本人が描いている。どの絵も独特の個性を感じさせる見事な作品で、その制作課程を見ているだけである程度は楽しめる。

後半は、ホームレス画家がスランプに陥り、黒沢あすか演じる美人バイヤーに「おまえの裸を描かせろ」と迫る展開になるが、予想通りこの後は彼女のスレンダーヌードが主な見所となる。黒沢あすかは、セリフはたどたどしいが綺麗なハダカでカバーしているのでよしとしよう。

ラストは平凡で予測がつくものだが、こうした静かな展開のエロティックな物語は、案外中年以降の男性には向いているのではないかと感じた。若い人にとってはつまらなくも面白くもない程度だろうが、上記にあてはまる人なら、まあ見て損はないかな、といったところだ。



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