『ブラインド・ホライズン』35点（100点満点中）

サスペンスなのに予測をはずれない平凡さは問題

ヴァル・キルマー主演（『トップガン』親友パイロットのアイスマン役など）、ネーブ・キャンベル共演（『スクリーム』シリーズのヒロイン）のサスペンスドラマ。

主人公はニューメキシコの砂漠で、頭部を撃たれて倒れていた記憶喪失の男（V・キルマー）。やがて彼は、自分が大統領暗殺計画について知っていることを思い出すが、断片的な情報ばかりで周りには信じてもらえない。そこへ彼の婚約者と名乗る謎の女（N・キャンベル）が現れ、彼を引き取るというのだが……。

観客の視点である主人公が徐々に記憶を取り戻すというストーリーなので、ちょくちょく意味不明な映像（彼の記憶の断片を表している）が挿入される。この手の記憶喪失ものにありがちなわかりやすい演出ではあるが、少々ウザったい。

キャラクター設定もわかりやすい。田舎町にふさわしくない「大統領暗殺」というとっぴな話に唯一耳を傾けることになる有能な保安官、記憶を失った男の婚約者と自称するどこか怪しげな美人、などなど、登場したときからその後の展開がわかる性格設定が微笑ましい。

こうした舞台設定から観客が予測するストーリーを、ほとんど外れることもなく映画は終了する。この平凡さが物足りないところ。そのくせ伏線の張り方がイマイチなため、結末まで見てもなんだかわかりにくい。この点、説明不足の印象があるが、それを補うかのように終盤説明的セリフが増えていく点がスマートでない。結果として、サスペンスに大切な意外性、驚きが不足している。

渋い役者陣はそれなりにみせてくれるのだが、その他の要素が平凡すぎてさびしい限りだ。もっとこう、何か一つでも突出した魅力がほしい。決して退屈するというわけではないのだが。