『劇場版 仮面ライダー剣(ブレイド)MISSING ACE[ミッシングエース]/特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション』50点(100点満点中)

大人にも子供にもサービスしようと頑張っている

TVの子供向け人気特撮アクションドラマの映画版。2本立ての上映で、B面的存在のデカレンジャーが約39分、二本あわせれば約2時間の興行となる。

まずデカレンジャーだが、レスリー星の人々の体を機械化して壊滅させた悪の軍団が、同じウィルスで地球を狙うという設定。レスリー星からやってきたSPD(スペシャル・ポリス・デカレンジャー)役として、アイドル女優の新山千春が映画版ゲストとして出演している。

こちらは長い上にストーリーが平板でいまいちだ。ライダーよりも低年齢層向け(取材した某男子小学生談)という事もあって、大人にとってはやや退屈な時間である。

ところが、その分『仮面ライダーブレイド』の方がなかなかの出来映え。こちらのストーリーは、敵の全アンデッドを封印してライダーたちが現役引退した4年後に、なぜかまたアンデッドが現れるという興味深い設定。

時はすでに新ライダーたちの時代で、主人公である旧世代ライダーは新世代たちにバカにされ、相手にもされない。かつての仲間たちも、今ではのほほんとエステに通っていたりなど、平凡な市井の人に成り下がっている。

しかし、無関心な現代っ子とは対照的に熱い男である主人公剣崎一真ほか2名は、アンデッドを感じの悪い新ライダーたちにはまかせておけず、独自に捜査を開始するというわけである。

凝った設定や展開はなかなかの力作で、対象年齢である小学生の子供たちというよりは、イケメンライダー目当ての大人のお客さまを存分に楽しませてくれるものだ。撮影も本格的で、CGの使い方もデカレンジャーよりずっとスマートで小気味よい。

この映画版は、TV版をしっかり見つづけている人向けに作られており、映画では説明されない設定や登場キャラクターを存分に絡ませ、楽しませてくれる。私は残念ながらこのシリーズについて詳しくなかったので、その点を超映画批評・子供向け映画専属ブレーンである小中学生の精鋭たちに取材してみた。が、なんと連中ときたら「ライダーは見てない」などというていたらく。まったく気まぐれなガキどもである。頼りにならないったらありゃしない。

仮面ライダーブレイド剣崎一真役の椿隆之くんは、先日ゲイ向けアダルトビデオ出演の噂がパッケージ写真とともに流出した。3枚目風味のデカレンジャーのリーダー、デカレッド(載寧龍二)とは違い、真性の2枚目である彼であるから、そんなネタも出てくるわけで気の毒な話ではある。

まあ、コトの真偽はともかく、そんな話題性も言ってみればタイムリーな話だ。また、デカレンジャーの新山千春には他の女性メンバーとの入浴シーンがあったり、仮面ライダーにも女性キャラのヌード(後ろからだけど)がチラっと写る場面があるというサービスぶり。作り手側もいろいろと気を使って大変である。

総合的に、仮面ライダーがデカレンジャーの不出来を相殺して50点といったところ。子供たちとたっぷり楽しんできてください。



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