『モナリザ・スマイル』60点(100点満点中)

私は感動したが、万人にすすめはしない

ハリウッドトップ女優として日本でも人気の高いジュリア・ロバーツ約2年ぶりの主演作品。保守的な名門女子大にやってきたリベラル教師の奮闘ぶりと、個性的な生徒たちとの交流を描いた人間ドラマ。

1953年ニューイングランド。主人公の美術教師(J・ロバーツ)は、全米一保守的といわれる名門女子大に赴任してきた。ところが、教師を容赦なく見下す高慢な生徒たちや、社会進出よりよき妻を目指す教育方針など、新天地への彼女の期待は初日に早くも打ち砕かれる。彼女は旧来の女性教育を打ち破ろうと、学校、生徒双方に対して訴えかけるのだが……。

表面的には一見、女性解放バンザイ的な底の浅い映画に見えるがさにあらず。なかなかどうして、よく計算されたストーリーだ。

保守的な学校や風習に苦労する進歩的な女教師を主人公にしてはいるが、実のところ本作は彼女のフェミ的な主張を完全に擁護してはいない。この映画のテーマはもっと普遍的なところにあり、その主張のために必要ないくつものエピソードをくっつけたような構成になっている。ちょいと不器用なやり方であり、この辺が一般の人々にはわかりにくく、批評家筋(米国ではイマイチ不評であった)にも嫌われた点だと思うが、私にはこの監督がいわんとする点、狙った効果が実によくわかった。

とはいえ、それを延々解説してしまうと「見る前に読む」という本ページの趣旨から外れてしまうのであえて割愛する。ただいえるのは、『モナリザ・スマイル』の主張は実にまっとうでバランスのとれた意見であり、そのおかげで私は大変感動できたということだ。

さて、『モナリザ・スマイル』には、ジュリア・ロバーツのみならず、期待の若手スターが幾人も出ている。イヤミなエリート学生を好演したキルスティン・ダンスト(『スパイダーマン』シリーズのヒロインMJ役)と、その優しい友人マギー・ギレンホールの悲しみを孕んだ表情は特に良い。なお、キルスティンは本作の撮影時、マギー・ギレンホールに弟さんを紹介してもらい、先日破局するまで付き合っていたそうだ。彼女は本作の不評に腹を立て、よりにもよって作品自体を毒舌批判するなど、相変わらず怒らせるとおっかない女の子である。

そんな個性的な女優の中にあっても、やはり主演のジュリア・ロバーツの存在感は別格だ。ラストで見せる表情のすばらしさをみれば、ン10億円の出演料も高くはないなぁと感じることだろう。

そんなわけで『モナリザ・スマイル』は、個人的にはなかなか気に入った作品だが、やはり見る人を選ぶ作品であることは否定できない。特に、この映画で扱われる思想的な部分に興味がない人にはまったくすすめられない。いくら演技派の美人揃いのキャストだからといって、そこに期待していくと大きく外すことになるだろう。また、日本での一般的な意味でのフェミニストの方々にもあまりすすめない。



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