『オーシャン・オブ・ファイヤー』60点(100点満点中)

雄大な自然を舞台にした馬と人間の愛の物語

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズで、旅の仲間アラゴルンを演じたヴィゴ・モーテンセンが、初めて主演を張ったアクション時代劇。西部開拓時代、アラブの砂漠横断馬レースに参戦したアメリカ人カウボーイの感動実話。

要するに、自然と馬をこよなく愛するカウボーイが、死者続出の過酷なレースに参戦したというお話だが、このレースは砂漠を何日もかけて馬に乗って横断するという長期戦なので、その間には現地のお姫様とのロマンスめいた話や、略奪者の襲撃など、いくつものアクシデントやエピソードが起こる。そのたびに、派手なVFXの見せ場があったり、銃撃戦があったりするので、2時間16分と上映時間が長いわりには飽きずに見られる。これらのエピソードのほとんどに主演のヴィゴさんがでずっぱりなので、印象としてはすっかり彼のヒーロー映画となっている。

このカウボーイの話が実話かどうかという点は大いに議論の余地があるらしい。とはいえ、我々日本人にとって、そんなことはどうでもよい気がする。もともと人気スターが主演した、エンターテイメント性の高い、”楽しむ”映画として作ってあるわけで、そういう意味で『オーシャン・オブ・ファイヤー』は、平均以上のクォリティを持っていることは確かなのだから。

まとめると、馬が大好きな人、ヴィゴさんが好きな人なら、普通に楽しめるであろう。地味なことだがサウンドデザインがしっかりしているので、音響のよい劇場で見ることをおすすめする。



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