『アンダーワールド』20点(100点満点中)

カルト的人気を博すか、ダメ映画の殿堂入りか

オオカミ男一族と吸血鬼一族の、永きにわたる壮大な戦いの最終章を描いたアクション映画。

GAGAが配給する作品だが、先々週の『ブルドッグ』に続き、またも宣伝マンの頭を悩ませたであろう、ビミョーな映画の登場である。

だいたい『ヴァンパイア一族vsオオカミ男一族』なんてのは、一歩間違えばコメディになりかねないネタだ。だがこの監督は、一片のユーモアさえもはさむことなく、超がつくほどクソマジメにこれを映画化した。なまじ、お金がかかった立派な映像なので、その滑稽さはカルト的人気を博すか、ダメ映画として殿堂入りするか、二者択一的である。

物語は、平たく言うとスタイルのいい黒づくめの美人が、オオカミ男軍団と、人間の美少年を奪い合っててんやわんやする話である。古典的モンスターであるヴァンパイアとオオカミ男が、ハイテクの銃器・装備類に身を包み、鉄砲を打ち合って戦うというアイデアが目を引く。12歳の子供が喜びそうな銃撃アクションが連発するが、独自の世界観は大人のコアなファンの心もつかみそうだ。

それにしてもGAGAの宣伝チーム、よりにもよって「マトリックスに匹敵する衝撃と感動」(公式サイトより)とは、なんだかヤケになったとしか思えない宣伝文句だ。皆さんも、実際にこの映画を見た後には、この公式サイトのイントロダクションの文章をぜひ読んでほしい。『アンダーワールド』のようなB級感漂う映画に対し、『マトリックス』並のを見させてくれる彼らの文章力に、感心すること間違いない。

そんなわけでこの、「新時代ゴシックサイバーアクション」、皆さんも心して挑戦してみようではないか。



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