『SSU』60点(100点満点中)
海軍全面協力の本格的な映像がいい
韓国の海軍に実在する、海難救助部隊SSUを舞台にしたドラマ。オオゲサな音楽と演出、臆面もなく登場するお涙頂戴など、最近の韓国映画に多い、大衆向けのエンタテイメントに徹した作りの映画である。
タイトルから期待するような、軍事モノっぽいアクションは無く、中身はいかにも韓国映画らしいメロドラマだ。ただ、下手に政治色をいれず、SSU隊員の恋愛沙汰とアクションの2本柱に見せ場を絞り、万人向けでわかりやすくした点には好感が持てる。ターゲットとする客層がはっきりしており、潔い。
韓国には徴兵制があるから、こうした軍事ものを作ると、(軍人役の)役者の動きにリアリティがある映画になる。軍経験がある観客を相手にする以上、極端にインチキなものは作れないわけだ。とくに本作は、韓国海軍全面協力ということで、より本物っぽい雰囲気が画面から伝わってくる。
まあ、細かい事を言えば、兵士が軽率に上官にはむかうなど、ストーリー上はいいかげんな部分も多いのだが、本物の軍艦やら基地やらの迫力で、そのへんは強引に押し切っている。字幕で見る日本人には、あまり気にならないだろう。
定期的に見せ場を配置し、上映時間も109分とちょうど良い。客に親切な映画である。アクションがもうちょい欲しい所ではあったが、まあ、映画館で見て損の無いレベルにはなっている。やはり韓国の娯楽映画には、相変わらず勢いがある。