『リーグ・オブ・レジェンド 時空を超えた戦い』60点(100点満点中)
原作コミックと、もとネタ小説のファン専用
19世紀の名作小説の主人公や、有名な登場人物たちが集まってチームを結成し、世界制服を企む大ボスと戦うという、ファンタジックなアドベンチャー。原作はアメコミである。
設定が設定だけに、誰向きの映画かが非常にハッキリしている。つまり、新作ガイドを書く身としては楽な映画といえる。『リーグ・オブ・レジェンド』は、原作のアメコミファンを除けば、登場人物全員に思い入れのある、各小説の熱烈なファン向けという、案外ニッチなマーケットへ向けた映画である。
そんなわけで、それぞれのキャラクターが活躍する、19世紀の各小説を1度も読んだことの無い方へは、私としては本作をあまりオススメしない。それは、ロボットアニメを1つも知らない人が、いきなりゲームの「スーパーロボット大戦」をプレイするようなもので、少々無謀だからだ。
各キャラクターは、知名度が高い人物ばかりだから、キャラ立てのための説明的シーンなどの挿入はほとんどない。観客はもう、彼らを当然知ってるものとして、どんどん先に進む。本作の興行上の問題は、イマドキの日本人(とくに若者)が、アラン・クォーターメインだとかドリアン・グレイだとかに、どれほどの思い入れを持っているかと言う点なのだが、それは公開後の成績を見て判断したいと思う。
本作は、アドベンチャー映画としては「フツーに面白い」といったところだ。透明人間や、不死身のボディを持つ吸血鬼、そしてジキル博士とハイド氏といった、昔は文章から想像するしかなかったキャラクターを、VFXを駆使した派手な映像で、実際に目の当たりに出来る。きっと誰もが、どっかりと椅子に座って、ノー天気に楽しめる事に違いない。