『S.W.A.T.』50点(100点満点中)
中学1年生はタダ! 必見だヨ
警察の特殊部隊スワットを主役に取り上げたアクション映画。いまでは警察特殊部隊の代名詞になっている“S.W.A.T.”発祥の地、ロス市警が舞台になっている。一応、1975年の『特別狙撃隊SWAT』というテレビシリーズが元になっている。
ハリウッドのアクション映画でS.W.A.T.に焦点を当てたものは初めて。というわけで、前半はこの組織についての説明的シーンが続く。本物にこだわった装備品や身のこなしを、ここはたっぷり楽しむとしよう。手首を掴んで銃を撃つような、インチキな動きは一切ない。これならガンマニアも納得の出来だろう。
ただ、映画『S.W.A.T.』の魅力はここまで。そこから先は、組織は描けど人物が描けず、の典型的末路をたどる。
ちょっと俳優に詳しい人が本作のキャスト一覧を見たとする。すると、「さぞ個性的なキャラクターたちが絡み合うドラマが生まれるだろう」と期待すると思われるが、『S.W.A.T.』は各スターの個性を生かせていない上に、主役以外の見せ場がほとんどないので、脇役の俳優(たとえばミシェル・ロドリゲス)に期待しているような人は、ガッカリするだろう。
この映画は、映画的なウソは最小限に、というリアル志向だ。特に、SWATという組織については、その傾向が強い。
もちろん、現実のSWATにはいない女性隊員がいるなど、娯楽的な要素も無視していないから、派手なアクション映画を期待して行く人も大丈夫だが、どうもそのへんの、バランスの取り方が上手くないのである。
たとえば、麻薬王の賞金目当てに、街のゴロツキたちが手を結んでスワットに戦いを挑む展開などは、そこまでスワット組織をリアルに描いてきただけに、突飛過ぎて違和感がある。お客さんに派手な戦闘アクションを見せるというサービスは大切だが、ちょいとストーリーに無理がありすぎる。
そんなわけで『S.W.A.T.』は、警察&ガンマニアなど、ディテールにこだわる方たちと、あまりストーリーの齟齬など気にしない、お気楽な気持ちで映画を楽しめる性格の方にオススメする。
なおこの映画は、中学一年生は入場無料という、太っ腹なキャンペーンをやっている。そのくらいの年齢層の映画館デビューの一本としては、本格的なアクションシーンや大作感のある本作は、なかなか適している。なによりタダなんだから、とりあえず全国の中一の諸君は、これを読んだら学生証を持って、週末は映画館にGo!である。