『ノックアラウンド・ガイズ』65点(100点満点中)

実は面白かった、マフィア版・はじめてのおつかい

ハリウッド新ハゲ御三家の一人、ヴィン・ディーゼル(『トリプルX』)が出演するクライムムービー。一言でこの映画を説明するなら、「マフィア版・はじめてのおつかい」である。おつかいの途中で主人公のさっちゃん(5歳)が、あわれ50万ドルを落としてしまいさあ大変、というストーリーである。ヴィン・ディーゼル氏は、弱り果てたさっちゃんを助け、なんとかお金を取り戻そうと頑張る親友役で出演する。

そんなわけで、肝心のディーゼル氏は、どう考えても主演とはいえないのであるが、この映画にはそこしか売りがないためか、まるで彼の主演映画であるかのように宣伝されている。パブリシティ担当者の苦悩がかいまみえる瞬間である。

とはいえ、さすがは新御三家の一画、ヴィン・ディーゼルである。そんな脇役でも、1番目立っているのはさすがである。独特の低い声が良く通り、本物の500人斬りの悪党のような迫力を見せてくれる。もちろん服装は白のランニングシャツか、白の長袖Tシャツである。彼はどの映画でもこの服なのだ。

肉体派アクションスターの道を着々と進む彼は、映画1作ごとにバルクアップしているように見える。『トリプルX』のギャラの多くが、きっと成長ホルモンに化けた事であろう。今後も精進して、いいカラダを作っていただきたい。目指せ上腕囲50cmだ。

さて、『ノックアラウンド・ガイズ』は、女がまったく出てこない、男くさいマフィア映画であるが、純粋にストーリーを楽しめる面白い映画である。そこに、先ほどまで語ったヴィン・ディーゼルの魅力が加わって、なかなか見れる映画に仕上がっている。

惜しむらくは、全く宣伝が浸透していないせいで、だれも期待していないという点であるが、“今週公開作品の中で”という条件付きなら、オススメしても良い一本である。見終わった後も、なかなか気持ちが良い。



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