『釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!』50点(100点満点中)
いつもと同じように笑える安心感がある
西田敏行と三國連太郎が主演の、おなじみのコメディシリーズ。
『釣りバカ日誌』は、50代以上の、普段は映画館なんて行った事もないオジさんオバさんが、いつも新聞屋からタダで券をもらえるから、なんていう理由で、これだけは毎年やってくるというシリーズである。
続きに続き、もうpart14(スペシャル等を含めると16作目)であるが、今回もほかの回とまったく同じである。このシリーズの中身を見ただけでパートいくつだとわかったら、きっとTVチャンピオンに出れるだろう。
しかしながら、巨大なリピーター市場によって成り立つシリーズである以上、これは当然である。「いつ行っても同じように楽しませてくれる」という安心感が、年配のリピーターには重要なのだ。
こういう恒例行事的な映画があることについて、私は大いに賛成である。そして、この映画にやってくる膨大な数のお客さんには、あと年に数回でいいから、ほかの楽しい映画にも来ていただけたらと思っている。釣りバカ日誌には、映画業界全体にとっての大きな見込み客である彼らに『映画館の楽しさ』を伝える大事な役目があるということを自覚して、頑張ってほしい。
話を戻そう。『釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!』の舞台は高知県、四万十川である。色っぽい高島礼子をヒロインに、ハマちゃんスーさんの、相変わらずのお笑いが繰り広げられる。
16本も続くと、登場人物のキャラクターというものも、さすがに完全に確立され、同じ事をやるだけで笑いが取れるという強みがある。何回見ても合体ネタだけは(個人的には)笑えないのだが、コメディとしては万人向けでわかりやすいから、試写室も爆笑の嵐であった。
上映時間は2時間近くあり、この内容にしては長いと思えるのだが、たまに見に行く人たちの立場になって考えてみれば、楽しみにしていた映画が90分で終わってしまうよりは、たっぷり2時間その世界に浸れる方が、サービスとしては良い事なのかもしれない。
全国にある数え切れ無いほどの釣り場の数だけ続編が作れるのだから、『釣りバカ日誌』シリーズはまだまだ安泰である。あとは、主演の二人の末永い健康だけを祈って、筆を置くことにしよう。なお、今回もこの映画、当日券1000円で見れるそうである。ありがたい事ですな。