『ローマの休日』100点(100点満点中)
まったく色あせない最高のデートムービー
オードリー・ヘップパーンと、先日なくなったグレゴリー・ペック主演のラブストーリー。ローマ観光産業最大の功労者にして、不滅のデート・ムービーである。最新技術により、当時のクォリティに修復され、公開当時に人々が見たのとほぼ同じものが、今回『デジタル・ニューマスター版』としてリバイバル上映される。
今回の修復作業は、「公開当時のままに」をテーマに進められたもので、これまでのように後から着色したりなどはしていない。ただただフィルムのノイズ等を極限まで取り除き、クリアになった『ローマの休日』は、まさに必見である。
私は、映画館で本作を見るのは初めてなのだが、この修復版は想像以上の素晴らしさだった。今までも、素晴らしい作品だとは思っていたが、この名作がなぜこれほど愛される名作なのか、『当時のまま』に修復された本作を『映画館』で見て、初めてその理由がわかった気がする。
この映画がはじめて紹介した、何百万組のカップルが真似したであろう『真実の口』でのシーン、撮影に6週間もかけたベスパでの疾走シーン、花屋から一輪の花を贈られるシーン、どのシーンもクリアな映像でみると、よりいっそう心に残る。
またアン王女は、公式の時とお忍びのときでは同じ笑顔でも全然違うわけだが、唯一ラストシーンだけは、床屋さんでみせた方の『お忍び中の』笑顔になる。その、シンプルながら感動的な演技も、この修正版ならはっきりと見て取れる。オードリーのナチュラルな美しさに、ただただ圧倒される。
まさに『ローマの休日』の真髄は劇場にあり! である。この、モノクロ、モノラル、スタンダードサイズの古い映画は、50年も前の作品だが、最新作として見ても、まったく遜色がないのだ。非の打ち所がないとは、こういう映画を指すのだろう。
まだ、1度も映画館で見たことがないという方は、この機会にぜひ足を運んでみてはどうだろうか。もちろんその場合は、愛するパートナーと出かけるのが基本であろう。『ローマの休日』は、そういうシチュエーションで、そして映画館で見てこそ、最高の満足を得られるように作られているのだから。