『ロスト・バイ・デッド』20点(100点満点中)

まだまだ未熟だが、見守りたくなる魅力がある

監督を含め、4人で作ったという低予算娯楽映画。

若き辻岡監督によれば、「ボクは漫画が好きだったから、マンガのように気楽に見て楽しめる映画を作った」という事だそうである。

さて、ざっと総括すると、全体がガチャガチャしすぎである。間が全くないので、状況が理解しにくい。場面がどんどん先走って変わりすぎなのである。さらに、各ショットを短く切りすぎており、モンタージュもかなり滅茶苦茶だ。映画文法を無視しているためか、とてもわかりにくくて疲れる。

出演者も、みな演技があまり達者ではないから、それぞれの演技がオーバーになりがちだ。それを補うためか、自然とセリフが説明くさくなる。当然、セリフ自体の数も異様に多い。

本作は、面白い趣向として、英語の字幕が常に画面についている。一見日本人には不要な気がするが、セリフがもごもごする場面がかなり多いので、英語の字幕ですら重宝したのは皮肉であった。

映画で描いているテーマも少々子供っぽく、全体的に未熟である。とはいえ、若い監督が頑張って作った『ロスト・バイ・デッド』、なんだか温かい目で見たくなるのは不思議である。



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