『完全なる飼育 秘密の地下室』50点(100点満点中)

ムダ肉ゼロの細いウェストが色っぽい

実際の事件をもとに書かれた松田美智子の『女子高生誘拐飼育事件』を原作にした映画『完全なる飼育』シリーズの新作。

一応、最後には泣かせる感動シーンがあるが、そこまでついていけるかどうかが、ひとつの問題だ。エロ&変態話の過激さに、フツーの方は振り落とされる恐れが大きい。逆に、それを目当てに行く人には、十分満足できよう。

本作は、低予算エロ系映画ながら、美術と、映像のセンスが良い。主演の山本太郎の着るクラシカルなスーツや無国籍な部屋、怪しげな地下室の内装の美しさは、見ていて感じがいい。とくにこの地下室、ゆらゆらゆれるキャンドルの炎が、現実と虚構の区別をあいまいにするかのような効果を生んでいて面白い。

監督は、ピンク映画の経験があるから、シリーズのファンお楽しみのHシーンの演出も上手い。「桃とカルピス」のCMで知られるしらたひさこが、20歳そこそこのスレンダーなオールヌードを、綺麗なハダカではなく、色っぽいハダカとして見せてくれるので、男性諸氏はきっと満足するはず。



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