『ワイルド・スピード×2』40点(100点満点中)

アメリカ製ヤンキークルマ映画PART2

主に日本製の、しかもヤンキーが好むスカイラインだとかRX-7だとかのカスタムスポーツカーが多数登場するカーアクション映画。

前作との共通点は少ない。何しろ、前作の主演のヴィン・ディーゼルが出てないのだから。その代わり、前作でヴィン・ディーゼルに子供扱いされていたあの警官が、本作では凄腕の賞金稼ぎドライバーへと成長している。彼を演じるポール・ウォーカーはレーサーでもあるそうで、劇中で披露するドライビングテクニックは本物である。

序盤の、スカイラインGTRによるレース・シーンは、前作を彷彿とさせて良かった。ただし、そこから先は『幼馴染の黒人』とやらが出てきて一緒に犯罪を解決するという、ごくフツーのバディムービーになってしまう。

ストーリーもあってないようなものだし、肝心のカーアクションも前作より相当劣るという、いったい何のための続編なのかがさっぱりわからない、トホホな出来である。要するに、ヴィン・ディーゼル降板をきっかけに、すべてがなしくずし的にパワーダウンしたという事である。

前作にあった、栃木のヤンキー集会のような怪しさも薄れてしまった。あれが『ワイルド・スピード』唯一の個性だったと言うのに、これではいけない。

『ワイルド・スピード』シリーズは、田舎のドライブイン・シアターで、ドカジャンを着た仲間たちと旧型シルビアK'sに乗りこんで鑑賞するというのが本来の楽しみ方である。製作スタッフ一同、『ナニワトモアレ』『頭文字D』『ジゴロ次五郎』あたりを読みなおし、次回はもっとぶっ飛んだヘンなクルマ映画を作っていただきたい。(……いいのか、これで?)



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