『フリーダ』60点(100点満点中)
フリーダの一生を描く、サルマ・ハエックムービー
サルマ・ハエックが、母国メキシコの画家、フリーダ・カーロの生涯を演じたドラマ。彼女は、この役を無名時代から狙っており、相当な思い入れがあるらしく、プロデューサーも兼ね、金策にも奔走するなど、深く関わっている。
絵画的な色使いと演出で、フリーダの一生を追う本作は、この画家をよく知る人にも、名前程度しか知らない人にも興味深い内容となっている。伝記映画のわりには、退屈もせずにそこそこ見れる。そしてその最大の理由は、主演女優の頑張りである。フリーダを演じるサルマ・ハエックの、本作の熱演ぶりは半端ではない。間違いなく、『フリーダ』は、彼女の代表作となるだろう。
そんなわけで、サルマ・ムービーと化した本作では、彼女は女子高生から死ぬ寸前、男装まで、コスプレ街道まっしぐら。フリーダは両性愛者だったので、黒人レズ女との熱烈な絡みシーンもあるが、堂々と全裸大公開で演じている。
ただ、サルマ・ハエックは少々グラマー過ぎるので、全身ギブスで数ヶ月たったあとでも、ギブスを外すと巨乳がぶるん、とでてくるのには少々興醒めする。まあ、男性としての目で見ると、大歓迎なのだが、普通に考えたら、ギブスで固めていたらもっとやせるはずだ。伝記ものとはいえ、こうしたリアリティにはあまりこだわっていない様子なので、大らかに見るのが吉かもしれない。
それにしても彼女は、いわゆるトランジスタグラマーというやつで、巨漢の恋人役の男優と並ぶと、下手な素人の漫画のごとく、デッサンが狂っているようにみえて面白い。二人の体型の比率がかなりヘンで、顔なんて、男の2分の1くらいである。
まあ、そんなわけで、サルマの熱演に、監督のアーティスティックなセンスが上手く作用した『フリーダ』は、なかなか見れる映画である。サルマファンとフリーダファンは、きっと満足できる仕上がりであろう。