『ベアーズ・キス』30点(100点満点中)

これでは変態ロリエロになりかねない

シベリアに伝わる民話にヒントを得て作られたおとぎ話。主演男優は、監督さんの息子だそうだ。全体的に、重暗いムードのカナダ映画である。

舞台はシベリアの森の中。母親が人間に襲われるトラウマを抱えた一匹の小熊がそこにいた。その小熊は数ヶ月後、ロシアの動物市場で売られてしまう。そして少女ローラの目に止まり、ミーシャと名付けられ彼女のサーカス団で飼われることになる。ブランコ乗りのローラはミーシャとすぐ仲良しになるが、ある夜彼女が、檻に入っているミーシャの様子を見に行くと、何故かその檻の中には見知らぬ裸の青年がいた……。

その後はその青年とローラが恋仲になるわけだが、さて、そんな『ベアーズ・キス』を一言で言えば、熊とセックスする女の話だ。いや本当は、優しい動物好きの少女が、クマに恋して、そのクマが人間に変身して……というおとぎ話なのだが、いろいろな理由から、そう素直に感動できないものがある。

たとえば、熊役の男の子が、やけにリアルに”クマ”すぎたりするあたり。みるからにクマ顔だし、夜になるとヘンな唸り声をあげているので、客としては、「あんなのに惚れるわけないだろ」という心理になる可能性が大。むろん、役作りはある意味完璧といえなくもないが、肝心の「恋の対象」という部分を忘れちゃならない。この彼と、女の子がHまでしてしまうとなると、さすがにもうついていけない。このクマ男に恋をする少女が、ただの変態に見えてしまうのだ。

結局の所、クマに恋する理由が、上手に描けていないという事がすべての元凶。そこさえうまくやれば、物語に説得力も出たはずだ。

それにしても、GAGAさんはよくこんな映画を買ったものだ。正直な所、いったいどんな客層を狙った映画なのかがさっぱりわからないので、レビュアーとしても非常に困る。



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