『劇場版ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 七夜の願い星 ジラーチ』60点(100点満点中)

夏休みの思い出に、大人も退屈せずに見られる作品

超人気子供アニメの夏休み劇場版作品。短編と合わせて2本同時上映となる。前作は海外での日本映画の興行記録を持っており、世界的な人気アニメシリーズである。つまりポケモンは、邦画のフラッグシップなのである。(これでいいのか……?)

ポケモンは、結構息の長いシリーズなので、ファンの年齢層も縦に長い。短編のほうは、そうしたファンの中でも低年齢層を狙ったもので、ミュージカル仕立てでニャースらポケモンが、歌って踊るという楽しい作品になっている。

長編のほうは、しっかりとしたストーリーを持ったドラマで、どちらかというと高学年向けのちゃんとした”映画”である。

映像は、たいしたクォリティではなく、大量生産アニメといったレベルだが、ごくまっとうなストーリーを持っており、大人でもちゃんと楽しめるようになっている。小さい子供のいる家庭にとって、こうした映画は年中行事みたいなものである。つきあわされる大人も楽しめるというのは、とてもありがたい事なのだ。

この作品を上映する映画館は、スクリーンに合わせて歌い踊る子供の観客の歓声で、さぞにぎやかになるであろう。子供はすぐに大きくなってしまうから、親にとっても、そうした体験は何回もできる事ではない。いつまでも残る、そんな思い出作りの出来るこうしたアニメ映画が毎年公開される事を、私はとても良いことだと考える。お父さんも、ぜひ椅子に浅く座って、ポケモンを味わってきていただきたい。



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